運転免許取得において、最短期間で教習所を卒業したい場合は免許合宿の利用がおすすめです。免許合宿では短期集中で学科・技能教習を受けるため、わずか数日~数週間で卒業資格を得られます。
しかし、免許にもさまざまな種類があり、同じ免許でも人によって取得までの日数が異なります。そこで、この記事ではなぜ合宿の期間に差が出てしまうのか、また最短で卒業する方法をわかりやすく解説します。
一般的な学習スケジュールや、もしも期間を延長する場合の対処法についても紹介しているので、学校や仕事、あるいは予算の都合から合宿期間に不安のある人はぜひお読みください。
目次
免許合宿の期間に差がある理由
まずは免許合宿の期間がなぜ人によって変化するのか、おもな理由を解説します。
取得する免許の種類の違い
取得する免許によって、合宿中に必要な教習時間が異なるためスケジュールに違いが出ます。たとえば同じ普通自動車であっても、AT限定免許とMT免許ではMT免許のほうが教習時間が多いため、1.5~2日程度日数が増えます。
また、原付や小型免許などほかの免許を持っている場合、その分教習時間が短縮されるためほかの人より早く卒業可能です。
なお、免許合宿では普通自動車(AT限定・MT)、普通二輪・大型二輪、大型・大型特殊、中型や各第二種免許などほとんどの免許取得に対応しています。仮免許だけ取得している人や、ペーパードライバー向けの合宿もあります。
原付や小型特殊自動車については技能教習なし・最短1日で取得できるため免許合宿はありません。
免許合宿のスケジュールの違い
教習所によって免許合宿のスケジュールが異なるため、免許取得にかかる期間も変わります。たとえば、多くの免許合宿では最短日数で免許取得を目指すため、休日なしで教習を受けることになります。
しかし、あえて週1~2日程度の休みを設け、土日は施設周辺を観光するなど余暇を楽しめる教習所もあります。そのため卒業旅行も兼ねてあえて遠方の免許合宿に参加する人も少なくありません。
免許取得と同時に観光も楽しみたいなら週休が導入されているプランを、勉強に集中して最短での卒業を目指したいなら休みなしのプランを選ぶとよいでしょう。
免許合宿を申し込む時期の違い
免許合宿の入校時期によっては、通常より合宿期間が長くなる場合があります。たとえば年末年始にさしかかる場合は教習所も休校となるため学習ができません。そこで、休校中は一時帰宅ができるように期間を長めに設定するプランや合宿施設で年越しできるプランもあります。
冬休みを利用して免許合宿を検討している場合、一時帰宅するかしないかも検討しておきましょう。
個人的な理由
個人的な事情により、当初組まれていたスケジュールを超過してしまうこともあります。たとえば免許合宿中にケガや病気で療養が必要になったり、試験に合格できず延泊になったりするケースです。
合宿中、試験に合格できずに延泊する生徒は1~2割ほどと、珍しいことではありません。
なお、合宿では自由時間・空き時間もあり多少スケジュールに余裕があるので、たとえば「寝過ごして1回学科教習を欠席してしまった」といった場合なら遅れを取り戻すことは可能です。ただし、学科教習は同じ授業が直近のスケジュールに組まれているとは限らないため、1回の欠席が数日のスケジュールに影響する可能性もあります。
免許合宿の最短期間とは
前述したように免許合宿では免許の種類によって卒業までの最短期間が異なります。そこで、多くの人が取得を目指すであろう普通自動車運転免許と、二輪車運転免許をピックアップして学習時間について解説します。
普通自動車運転免許を取得する場合
普通自動車運転免許の場合、合宿の最短期間はAT限定で14日間です。また、MT免許の場合は最短16日間がかかります。
MT免許ではAT限定免許よりも車を運転する技能教習の時間が3時限分多くとられているため、その分時間がかかるのが特徴です。1日に受けられる技能教習の時間は法律によって制限されているため、実質1.5日分AT限定免許より長くなります。
また、AT限定免許・MT免許に関わらず、教習所に休日があればその分長引きます。たとえば週に1回休日があると、AT限定免許では最短14日ではなく16日程度になるでしょう。また、年末年始は特別に一時帰宅となり、年が明けてから再び教習が始まるケースが多いので事前に確認してください。
二輪車運転免許を取得する場合
二輪車運転免許の場合は、どの種類の免許を取りたいか、あるいは別の運転免許を持っているかどうかで日数が変わります。通常は普通二輪で6~9日間、大型二輪で16日間が目安です。
また、たとえばすでに普通二輪の免許を持っている場合、大型二輪の免許を取得するにあたって学科教習は完全免除となり、教習時間が短縮されます。そのため合宿期間は最短5泊6日あれば免許が取得できます。二輪車ではなく普通自動車の運転免許を所持している場合も、学科教習は1時限のみとなり、大幅な短縮が可能です。
免許合宿の教習スケジュール
ここでは普通自動車の免許を取得する基本的なスケジュールを解説します。
第1段階
合宿では初日から教習が始まります。初日は入校手続きと入校式のあと、オリエンテーションや適性検査を行うのが一般的です。手続きはすべて午前中に済ませ、午後から教習が始まります。
第1段階とは仮免を取得するまでの間で、AT限定免許の場合1~6日です。教習時間にすると学科教習は9時限分です。技能教習はMT免許で15時限以上、AT限定免許で12時限以上あり、いずれも1日当たり2時限まで教習を受けられます。
毎日8時~19時半くらいまで勉強するのが一般的です。ただし、第2段階に比べるとスケジュールには比較的余裕があり、授業の合間が数時間空くこともあるなど、自由時間も多くあります。
第1段階の教習がひと通り済んだら、仮免学科試験を受け、これに合格すれば仮免許証を取得、公道での技能教習が可能になります。
第2段階
仮免を取得したら第2段階に入ります。第2段階は6日目から14日(MTの場合は16日)目までです。教習時間は第1段階よりも長くなり、16時限の学科教習とMT19時限以上、AT16時限以上の技能教習を行います。技能教習は第1段階では1日2時限まででしたが、第2段階では1日3時限まで教習を受けられるようになります。
おもに学科教習では運転技術や安全についての知識と応急救護を学びます。また、技能教習では公道上での走行もできるようになり、高速道路の走行や追い越しなどを実際に体験します。
無事すべての教習が完了したら、卒業検定の受験資格が得られます。卒業検定で実際の走行や、縦列駐車もしくは方向転換といった問題をクリアすると合格し、卒業可能です。
なお、教習所で得られるのはあくまで卒業資格(運転免許センターにおける運転の技能試験免除)であり、運転免許ではありません。卒業のあとは各自で住民票がある都道府県管轄の運転免許センターに足を運び、学科試験に合格して初めて運転免許を取得できます。
免許合宿を延泊になる主な理由
延泊になる理由としてありがちなものを3つピックアップして解説します。
授業についていけなかった
単純に卒業検定に合格できず、1回では卒業できないために滞在日数を延長する人も多いです。卒業検定の合格率は80~90%程度で、つまり10~20%の人は不合格となります。
この場合は延泊し、卒業できるまで試験をくりかえします。詳しくは後述しますが、都合がつかない場合はいったん卒業を諦め帰宅することも可能です。
授業を欠席した
病気やケガ、あるいは家庭の事情での一時帰宅などでやむを得ず授業を欠席してしまった場合も、必要な単位を満たせず卒業までの期間が長引く可能性があります。
また、たとえば新型コロナウイルスに感染してしまった場合は施設内での療養が難しいため、帰宅もしくは隔離・入院しなくてはならないでしょう。
仮に試験に合格できるだけの知識があっても、規定の学習時間をこなしていないと試験を受けさせてもらえません。そのため、特に時間割が決まっている学科教習の欠席は最短での卒業には致命的です。
仮免の試験に3回落ちてしまった
仮免許証取得にあたって、学科試験で3回落ちると卒業できず、強制的に帰宅させられてしまいます。これはどの教習所でも同様です。
仮免許証を取得するためには全50問中9割以上の正答率が必要なので、実質5問までしか間違えられません。学科試験は基本的に暗記問題で引っかけ問題も多いので、注意深く確認しないと落ちてしまいます。暗記力に自信がない人は、しっかりと予習しておきましょう。
免許合宿を卒業できない場合の対処法
もしも免許合宿を最短で卒業できなくなってしまった場合、教習を続けるにしろ諦めるにしろ、それぞれいくつかの選択肢があります。そこで、おもな対処方法について解説します。
延泊して同じ教習所で学ぶ
費用の負担を抑え、できるだけ短期間のうちに免許を取得するための方法としては、延泊して引き続き同じ教習所・合宿施設で学ぶのがおすすめです。
合宿で卒業できない人の割合は10~20%と、珍しいことではありません。あらかじめプラン内で追加料金なしに延泊できたり、延泊保証をつけていたりする教習所も多くあります。このような制度を利用すれば効率良く免許を取得できるでしょう。
ただし、学生・社会人の場合、延泊すると学業や仕事に影響する可能性もあります。スケジュールに余裕を持って参加するか、後述する別の手段も検討しましょう。
帰宅して違う教習所に入校する
いったん合宿を終了して帰宅し、あらためて別の教習所に入校する手もあります。第1段階を終了している状態なら2段階目からはじめられ、そのぶん価格も割引されるため、一からやり直すより費用が安く済みます。
ただし、仮免の有効期限は6カ月間しかないため、有効期限内に入校・卒業しないとまた費用がかかってしまいます。
また、仮免許証の取得ができずに終了してしまった場合は、また一から費用がかかってしまいます。免許取得は安くて20万円、高いと40万円近くかかることもあるので、費用の工面が難しい場合は時期をあらためたほうが良いかもしれません。
免許合宿を延泊したときの追加料金
卒業ができなかった場合は、延泊すると追加料金が発生するのが一般的です。延泊料金のルールを解説します。
延泊しただけの料金を支払う
延泊が決定した場合、延泊日数に応じた料金が発生します。プランや宿泊施設の種類、グレードなどにもよりますが、1泊当たり3,000~10,000円が相場です。
また、プランによっては行き帰りの交通費が含まれておらず自費になることもあります。その場合は延泊により帰りの新幹線や飛行機、夜行バスなどのチケットのキャンセル費用や、日程変更による価格変動が発生する可能性もあるので注意が必要です。ほかにコインランドリー代やコンビニでのおやつ代など、細かな負担も増えやすくなります。
延泊保証に入っていれば追加料金は発生しない
合宿のプラン次第では、延泊の際も追加料金が発生しない「延泊保証」があるため、不安があるならこれを活用しましょう。ただし、延泊保証は各教習所・プランによって保証される金額の上限や期間などが異なります。
たとえば卒業まで保証してくれる手厚いプランもあれば、3日間の延泊までなら無料というプランもあります。万が一のために延泊保証の内容を事前に確認してから申し込みしましょう。
特に「勉強が苦手で1回で卒業できる自信がない」「環境が変わると体調を崩してしまうことが多い」など延泊保証を利用する可能性が高い場合は、料金だけでなく延泊保証の内容も比較しながら教習所やプランを選ぶことが大切です。延泊保証があると試験時も「万が一落ちても、延泊保証がある」と精神的に楽になるので、リラックスして試験に臨めます。
免許合宿の期間に関するQ&A
最後に、免許合宿の期間についてよくある質問に回答します。
免許合宿の最長期間はどれくらい?
免許合宿における、理論上の最長受講期間は9カ月間です。合宿か通学かを問わず、学科・技能教習には「教習所で最初の教習を受けてから9カ月間」の有効期限があります。つまり、入校して合宿を始めてから9カ月以内に卒業しないと、どんなに勉強していても無効になってしまいます。
しかし、延泊には1泊当たり3,000~10,000円程度がかかる上、本人の学校や仕事の都合もあり、実際に9カ月もの期間合宿先に滞在するということはまずありません。教習所でも「滞在可能なのは1カ月まで」と別途期限を設けている場合も多くあります。
免許合宿の期間は自分で決められるのか
基本的に免許合宿の期間は自分では決められません。
教習所側が学科や技能教習を組んでいます。中学や高校の時間割が決まっているように、免許合宿のスケジュールもあらかじめ決まっています。もし自分の都合にあわせて学びたいのであれば自由度が高い通学をおすすめします。
免許合宿の最短期間は14日間
免許合宿は普通自動車運転免許の場合、AT限定免許なら最短14日間で取得できます。試験に落ちたりケガや病気で療養期間を挟んだとしても、状況によっては延泊も可能です。理論上は9カ月ほど学習可能ですが、延泊には料金がかかることが多く、学校や仕事もあるため実際には1カ月ほどでの取得を目安と考えましょう。
免許合宿は1~2割の人が不合格になっており、延泊を余儀なくされます。自信がない場合はスケジュールに余裕を持って申し込み、必要に応じて延泊保証のある合宿プランを選択しましょう。