認知機能検査とは?対象となる人や項目・点数の違いなどを解説

「認知機能検査の内容を知りたい」「認知機能検査はどんな人が対象なのかわからない」と困っていませんか。

認知機能検査の対象者は、免許証の有効期限満了時に75歳以上のドライバーです。認知機能検査の結果が良くないと、免許を更新できない可能性も出てくるので、高齢ドライバーは制度をよく理解しておく必要があります。

この記事では、認知機能検査の対象となる人や認知機能検査のテスト項目、認知機能検査の点数による扱いの違い、申し込み方法・必要書類などを紹介します。


認知機能検査の対象となる人とは

認知機能検査の対象者は、免許証の有効期限満了時に75歳以上のドライバーです。また、免許更新後に一定の違反をしてしまったドライバーも検査の対象となります。ここでは、認知機能検査の対象となる人について解説します。

免許証の有効期限満了時に75歳以上のドライバー

70歳以上のドライバーは免許更新時に高齢者講習が必要になりますが、75歳以上の場合、さらに事前に認知機能検査を受ける必要があります。これは、高齢になると記憶力・判断力の低下に個人差があり、認知機能検査によって講習内容を決定する必要があるためです。

認知機能検査は、更新期間が満了する6ヶ月前から受験可能です。免許証の有効期限満了時に75歳以上のドライバーは、認知機能検査を受ける必要があると覚えておきましょう。

免許更新時を問わず一定の交通違反をした75歳以上のドライバー

75歳以上の場合、免許更新時でなくとも、一定の交通違反をしてしまうと臨時の認知機能検査の対象となります。

対象となる違反行為は、次の18種類です。

  1. 信号無視
  2. 通行禁止違反
  3. 通行区分違反
  4. 横断等禁止違反
  5. 進路変更禁止違反
  6. しゃ断踏切立入り等
  7. 交差点右左折方法違反
  8. 指定通行区分違反
  9. 環状交差点左折等方法違反
  10. 優先道路通行車妨害等
  11. 交差点優先車妨害
  12. 環状交差点通行車妨害等
  13. 横断歩道等における横断歩行者等妨害
  14. 横断歩道のない交差点における横断歩行者妨害
  15. 徐行場所違反
  16. 指定場所一時不停止等
  17. 合図不履行
  18. 安全運転義務違反

対象者には臨時認知機能検査の通知書が届き、1ヶ月以内に検査を受けなければなりません。この通知を無視している場合、免許の停止・取り消しの対象になってしまいます。

また、検査の結果が以前の検査よりも悪くなっている場合は、臨時高齢者講習を受講する必要があります。


認知機能検査のテスト項目は2つ

認知機能検査のテスト項目は次の2つです。

  • 手がかり再生
  • 時間の見当識

当日に落ち着いてテストを受けられるよう、本章で検査内容について把握しておきましょう。

手がかり再生

この検査の目的は、手がかりをもとに記憶を再生する検査で、16枚の絵を記憶し、一定の時間経過(介入課題) の後、どれだけ記憶しているかの検査です。

検査では、一度に4つの絵が4枚(合計16枚)出てきます。後で、何の絵があったかを全て答えますので、 よく覚えるようにしましょう。絵を覚えるためのヒントも出て来るので、ヒントを手がかりになるべく多く記憶するようにしてください。

※絵のサンプル 画像引用:認知機能検査について|警察庁

絵を覚えたら、続いて介入課題に移ります。

<問題用紙1:介入課題>

介入課題では、たくさん数字が書かれた表があり、 教官が指示をした数字に、斜線を引いていきます。例えば、「2と5に斜線を引いてください 」と言われたときは、表の中から「2と5」の数字を見つけて、一番上の行の左から順番に斜線を引きます。

介入課題は手がかり再生の出題から回答までに一定時間を空けることが目的のため、斜線を引いた数が少なかったり間違っていたりしても問題ありません。

ここからが検査本番です。

<問題用紙2:自由回答>

まずは、手がかりなしで再生を実施し、記憶力を検査します。

先程の16枚かの絵から何が描かれていたのかをよく思い出して、できるだけ全部書いてください。回答の順番は問わないため、思い出した順で結構です。「漢字」でも「カタカナ」でも「ひらがな」でも構いません。 間違えた場合は、二重線で訂正してください。

<問題用紙3:手がかり回答>

続いては、手がかりをもとに再生を実施し、記憶力を検査します。

今度は、回答用紙にヒントが書かれています。それを手がかりに、もう一度、何が描かれていたのかをよく思い出して、できるだけ全部書きましょう。それぞれのヒントに対して、回答は一つだけです。二つ以上は書かないでください。「漢字」でも「カタカナ」でも「ひらがな」でも構いません。 間違えた場合は、二重線で訂正してください。

手がかり再生の採点方法ですが、最大32点となります。16枚のイラストの名前が正しく回答できると点数が与えられます。

採点方法

一つのイラストについて、 次の通り計算されます。

  • 自由回答及び手がかり回答の両方とも正答の場合は2点
  • 自由回答のみ正答の場合は2点
  • 手がかり回答のみ正答の場合は1点

イラストのサンプルは警視庁のWEBサイトに掲載されているので、検査を受ける前に体験しておくとよいでしょう。

イラストの覚え方についてより詳しく知りたい人にはこちらの記事もおすすめです。
高齢者講習前の認知機能検査のイラストの覚え方!出題流れも解説

時間の見当識

現在の自己及び自己がおかれている状況についての認識を「見当識」と呼びます。時間の見当識は、受検者が自らがおかれている時を正しく認識しているかについての検査です。

次の質問に対し、ひとつひとつ回答します。

  • 今年は何年ですか?
  • 今月は何月ですか?
  • 今日は何日ですか?
  • 今日は何曜日ですか?
  • 今は何時何分ですか?

「年」、「月」、「日」、「曜日」、「時刻」が正しく回答できると点数が与えられます。

認知機能検査の採点方法

認知機能検査採点は、手がかり再生と時間の見当識の点数を総合して算出します。計算式は次の通りです。

認知機能検査の得点=(2.499×手がかり再生の点)+(1.336×時間の見当識の点)
※小数点以下は切り捨て

採点結果は後日通知で届きます。

最新の認知機能検査の出題内容についてより詳しく知りたい人はこちらの記事を読んでみてください。
運転免許の認知機能検査の問題を解説!2022年5月の法改正にも対応

また、スムーズに合格したい人向けに認知機能検査に対策する問題集も販売されています。以下の記事で解説しています。
運転免許の認知機能検査の最新おすすめ問題集5選!1発で合格しよう

参考:警視庁|認知機能検査の採点方法


認知機能検査の点数が低かったらどうなるのか

認知機能検査で点数が低かったら免許の取り消しになるのか?と気になる人もいるでしょう。

ここでは、検査の点数によってその後の展開がどうなるのか見ていきましょう。

認知機能検査には合否判定がない

認知機能検査は認知力が機能しているかをテストするもののため、合否判定はありません。

合否はありませんが、点数によって「認知症のおそれがある人」と「認知症のおそれがない人」のいずれかの判定を受けることになります。

  • 総合点36点未満:認知症のおそれあり
  • 総合点36点以上:認知症のおそれなし

もし「認知症のおそれあり」と判定された場合は、医療機関の受診が必要となり、すぐに免許を更新することはできません。

総合点36点未満:認知症のおそれがある方

認知機能検査の総合点が36点未満の場合、記憶力・判断力が低くなっており、認知症のおそれがあると判定されます。

記憶力・判断力が低下すると、信号無視や一時不停止の違反をしたり、進路変更の合図が遅れたりする傾向がみられます。今後の運転について十分注意するとともに、医師や家族に相談することをお勧めします。

「36点未満=認知症」と決まったわけではない

なお、判定の基準となる点数(36点)は、認知機能検査の結果と認知症専門医による診断結果との関係を統計的に分析して定められたものです。認知機能検査は、受験者の記憶力、判断力の状況を簡易な検査によって確認するもので、認知症の診断を行うものではありません。

したがって、総合点が36点未満であったとしても、直ちに認知症であることを示すものではありません。あくまで「認知症のおそれがある」というだけで、免許証の更新をできる可能性はありますし、直ちに免許が取り消されるわけではないので安心してください。

専門医の受診後、「認知症でない」との診断が出た場合は、その後高齢者講習を受講のうえ免許を更新できます。一方「認知症である」と診断されると、運転免許の取消し、停止という行政処分の対象となり免許は更新できません。

総合点36点以上:認知症のおそれがない方

認知機能検査の総合点が36点以上の方は「認知症のおそれなし」と判定されます。この場合は、高齢者講習を受講すれば免許を更新できます。

高齢者講習の内容と受講料は次の通りです。

  • 受講料:6,450円
  • 座学・運転適性検査:1時間
  • 実車:1時間

講習では、交通ルールや安全運転に関する知識を確認したり、動体視力や夜間視力、視野を測定したりします。運転状況を記録し、その映像を見て指導員からアドバイスを受けることも講習内容に含まれています。

また、普通自動車対応免許以外の免許(原付、二輪、大特、小特)を更新する場合や運転技能検査対象者は、所要時間1時間で受講料が2,900円です。実車がなく、座学・運転適性検査のみのため、所要時間が短くなっています。

認知機能検査後の高齢者講習について詳しく知りたい人にはこちらの記事も読んでみてください。
高齢者講習とは?講習内容や受講から免許更新の流れまで徹底解説!


認知機能検査に申し込む方法と必要書類

認知機能検査を実施している場所は都道府県によって異なります。免許センターでしか行なっていない都道府県や、教習所でも実施している箇所としていない箇所があります。また、受講には、事前予約が必要で持参する必要書類もあります。

ここでは、認知機能検査に申し込む方法と必要書類を紹介します。

認知機能検査に申し込むには

認知機能検査に予約するためには、郵送されてくる案内ハガキが必要です。更新期間満了日の約190日前に、お知らせハガキが届きます。

検査は、更新期間が満了日の180日前から受けられます。ハガキ到着後、希望する場所に電話して予約しましょう。また、パソコンやスマホでのWEB予約も受け付けています。WEB予約であれば24時間申し込み可能です。

認知機能検査に申し込むときの必要書類

認知機能検査を申し込む際に必要な書類はありませんが、検査当日は、次の持ちものが必要です。

  • 「講習のお知らせ」のハガキ
  • 運転免許証
  • 手数料1,050円
  • 筆記用具

また、眼鏡・補聴器など普段運転で使用するものも持参しましょう。


万が一認知機能検査の期間を過ぎてしまったら

認知機能検査の期間を過ぎた場合、免許の更新はできなくなってしまうものの、有効期限満了日以降の6ヶ月以内であれば、学科・技能試験免除で旧免許を再取得できます。

このケースでも、免許取得までに認知機能検査・高齢者講習を受ける必要があります。万が一認知機能検査の期間を過ぎてしまった場合は、早めに行動しましょう。


認知機能検査は安全運転のために必須

免許証の有効期限満了時に75歳以上のドライバーは、認知機能検査の対象者です。高齢になると記憶力・判断力の低下に個人差があり、受ける高齢者講習の内容を分けるために認知機能検査を実施しています。

また、免許更新後に一定の違反をした75歳以上のドライバーの場合、臨時認知機能検査を受けなければなりません。1ヶ月以内に検査を受けなければ、免許の停止・取り消しの対象です。

こうした認知機能検査は、手がかり再生と時間の見当識というテストによって点数を出します。合格・不合格の判定はありませんが、点数によってその後の手続きの流れが変わります。

認知機能検査を受けるためには、事前に予約しなければならず、また必要書類もあるため、必ず確認しておきましょう。定められた期間内に認知機能検査を受け、日ごろから安全運転を心がけてください。

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