運転免許の認知機能検査の問題を解説!2022年5月の法改正にも対応

運転免許証の更新期間が満了する日の年齢が70歳以上の方は、高齢者講習の受講が必要です。75歳以上の方は高齢者講習に加えて認知機能検査が義務づけられており、結果次第では運転免許の停止または取消しになる可能性があります。

2022年5月13日には改正道路交通法が施行され、高齢者講習と認知機能検査の内容及び手数料が変更されました。

そこで、本記事では2022年5月の法改正に対応した認知機能検査の具体例や勉強法を解説します。

検査通過後の免許更新の流れも併せて解説するので、認知機能検査を受検する予定の方はぜひ参考にしてください。


運転免許の認知機能検査の問題は2種類

法改正後の認知機能検査は、「時間の見当識」と「手がかり再生」の2種類です。以前は3種類目に「時計描写」と呼ばれる問題がありましたが、法改正により廃止されました。ここでは、法改正後に行われる認知機能検査の問題を詳しく解説します。

検査日当日の「時間の見当識」

「時間の見当識」は、自分の置かれている時を正確に認識しているかを調べるために行われる検査です。受検者は、検査時点の年月日と曜日及び時間を解答用紙に記載します。

問題は以下のような形式で、全部で5項目に回答します。

質問 回答
今年は何年ですか?

今月は何月ですか?

今日は何日ですか?

今日は何曜日ですか?

曜日

今何時何分ですか?

時  分

イラストを記憶する「手がかり再生」

「手がかり再生」は、少し前に記憶した内容を正確に記憶できているかを調べるために行われる検査です。

手がかり再生は以下の流れで行われます。

  1. 16種類のイラストを見せられ記憶
  2. 介入課題
  3. 自由回答
  4. 手がかり回答

最初に受験者は16種類のイラストを見せられ、記憶します。記憶を助けるためのヒントも与えられるので、出来る限り覚えましょう。

続いては介入課題です。介入課題とは、多くの数字が記載された表を見て、検査員の指示通りのものを斜線で消していく内容です。イラストを覚えてから一定の時間を空けることが目的なので、介入課題の点数は問われません。

次に、自由回答に取り組みます。検査員からの質問に対して、まずはヒントなしで記憶したイラストを思い出して解答用紙に記入します。

一度目で思い出せなかった場合は、次の「手がかり回答」で、検査員から与えられたヒントをもとに解答していきます。

1.のイラストは1枚のボードに4種類が描かれた4枚が1セットで、A~Dの4パターンのいずれかが提示されます。

※イラストの例

イラストは警視庁の公式Webサイトで公開されているため、事前確認が可能です。

覚え方のコツはこちらの記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
高齢者講習前の認知機能検査のイラストの覚え方!出題流れも解説


運転免許の認知機能検査を通過するポイント

スムーズに運転免許を更新するには認知機能検査の通過が大きなポイントとなります。ここでは、運転免許の認知機能検査を通過するポイントを解説します。

①問題を無料公開しているサイトで予習する

認知機能検査のうち、手がかり再生は自宅での予習が可能です。高齢運転者支援サイトや警視庁の公式Webサイトでは、手がかり再生の問題例が無料で公開されています。

高齢運転者支援サイトは高齢ドライバーに安全運転を続けてもらうことを目的に、一般社団法人全日本指定自動車教習所協会連合会が平成25年4月に開設したサイトです。サイトでは、高齢者講習の内容や運転免許更新の流れなどが紹介されています。

警視庁の公式Webサイトからは、すべてのイラストパターンをダウンロードして印刷可能です。認知機能検査を受検する前にイラストと問題例を用いて、家族と練習しておくと良いでしょう。

②市販の過去問題集を解いて慣れておく

全国の書店やオンラインショップなどでは、認知機能検査向けの問題集が販売されています。問題集は1,000円以下のものが多く、リーズナブルな価格で購入できます。多くの問題集には模擬テストが付いているため、事前対策として有効です。

おすすめの問題集はこちらの記事で紹介しているので、購入を検討する方はぜひチェックしてみてください。

ただし、2022年5月13日からは改正道路交通法が施行され、認知機能検査の内容が変更されました。法改正に対応するため、これから問題集を購入する場合は新しいものを探す選ぶことをおすすめします。

運転免許の認知機能検査の最新おすすめ問題集5選!1発で合格しよう

③タブレット端末の操作に慣れておく

認知機能検査がペーパー形式で行われるとは限りません。会場の中には、タブレット端末を使った検査が導入されているところもあります。

たとえば富山県の一部会場では、2021年9月からタブレット端末による認知機能検査を全国で初めて導入しました。これから導入する会場が増える可能性もあるため、タブレット端末の操作に慣れておきましょう。

タブレット端末を使った検査では、検査員に代わってヘッドホンの音声案内に従い、タッチペンで解答を進めます。検査にタブレット端末が導入された背景には、次のような理由が挙げられます。

【所要時間の短縮】

タブレット端末では自動採点できるため、検査にかかる時間の短縮が可能になります。

【予約待ちの解消】

認知機能検査は事前予約が必要ですが受検希望者が多く、長時間待たされるケースも珍しくありません。タブレット端末を導入すると回転率が上がるため、予約待ちの解消が期待できます。

【個々のペースでの進行】

検査にかかる所要時間の目安は提示されているものの、受検者によって進行のペースはさまざまです。タブレット端末は集団検査でも受検者のペースで行えるため、順次個別対応が可能になります。

スマホやタブレットなどのタッチパネル操作に慣れていない方は、いざ受検するときにスムーズに進行できない可能性があります。操作に不安がある場合、もし身近にタブレットがあれば触って操作に慣れて置いたり、ペーパー形式で受検できる会場を選んだりするのも手段のひとつです。

④運転免許の更新期限に余裕をもって受ける

認知機能検査は、運転免許証の更新期間が満了する日の6カ月前から受検可能です。会場によっては予約が取りにくいこともあるため、できるだけ早く予約を取るようにしましょう。

早めの予約をおすすめする理由は、認知機能検査の結果次第で運転免許の更新が間に合わない可能性があるためです。検査で「認知症のおそれあり」と判定された場合、専門機関を受診した上で医師による診断書の提出が求められます。

更新期限ぎりぎりで検査を受けると診断書の提出が間に合わず、運転免許が失効してしまうリスクがあります。免許失効後、6カ月以内なら適性検査を受検すれば再発行できますが、もし過ぎてしまった場合は再度運転免許試験を受験し、合格しなければ車の運転ができません。

更新期間の満了日までにすべての手続きを終えられるよう、認知機能検査の予約は早めに取るようにしましょう。

⑤日頃から認知症の予防を意識する

認知機能検査の目的は、高齢ドライバーの記憶力と判断力の状態を確認するためです。今後もドライバーとして車の運転を希望するなら、認知機能検査の通過は絶対条件になります。

記憶力や判断力の低下が見られると通過できない可能性があるため、日頃から認知症の予防を意識した生活を心掛けましょう。

ここでは、一般的な認知症の予防法をいくつか紹介します。

予防法 具体的な内容
外出機会を増やす 認知症を予防するためには、非日常の刺激を受けることが大切です。外出すると刺激を受けられるだけでなく、運動不足の解消につながります。
誰かと話す機会を増やす 認知機能検査は、検査員とコミュニケーションを取りながら進行します。

人と会話する機会が少ないと、認知機能が低下する可能性があります。日頃から誰かと話す機会を設け、認知機能検査が低下するリスクを軽減しましょう。

聴力の状態をチェックする 運転免許を更新する際には、年齢に関係なく適性検査で聴力検査が行われます。

聴力の低下を放置すると認知症のリスクが高まるため、日頃から聞こえ具合をチェックしておきましょう。違和感を感じた場合は早めに医療機関を受診した方が良いでしょう。

持病を放置せず生活習慣病の予防に努める 認知症を引き起こす原因のひとつに、生活習慣病が挙げられます。日頃から生活習慣病の予防に努めることは、認知症の予防にもつながります。

運転免許の認知機能検査の基礎知識

認知機能検査は、平成21年6月1日からスタートしました。75歳以上の高齢ドライバーが今後も運転し続けるためには、避けては通れない検査です。ここでは、高齢ドライバーが運転免許を更新する際に義務づけられている認知機能検査の基礎知識を解説します。

認知機能検査が行われる目的

75歳以上の高齢ドライバーに認知機能検査が義務づけられているのは、記憶力と判断力の状態を確認することが目的です。検査が導入された背景には、高齢ドライバーの増加や高齢ドライバーによる事故の増加などがあります。

医師の指示による検査ではないので医療検査に代わるものではなく、認知症の診断が直接下されるわけではありません。検査結果によっては医師による診断書の提出が求められますが、「認知症のおそれ」がなければ不要です。

認知機能検査は特定の交通違反でも実施される

認知機能検査が行われるのは、75歳以上の高齢ドライバーが運転免許を更新するときだけではありません。特定の交通違反があった場合は、更新時以外でも臨時で認知機能検査が行われます。

臨時の認知機能検査の対象になる交通違反は、次の18種類です。

  • 信号無視
  • 通行禁止違反
  • 通行区分違反
  • 横断等禁止違反
  • 進路変更禁止違反
  • しゃ断踏切立入り等
  • 交差点右左折方法違反
  • 指定通行区分違反
  • 環状交差点左折等方法違反
  • 優先道路通行車妨害等
  • 交差点優先車妨害
  • 環状交差点通行車妨害等
  • 横断歩道等における横断歩行者等妨害
  • 横断歩道のない交差点における横断歩行者妨害
  • 徐行場所違反
  • 指定場所一時不停止等
  • 合図不履行
  • 安全運転義務違反

認知機能が直近の検査結果よりも悪化していた場合、臨時の高齢者講習の受講が必要です。「認知症のおそれあり」と判定されると、臨時の適性検査の受検または医師による診断書の提出が求められます。

医師により認知症と診断された場合、運転免許が停止または取消しになります。

認知機能検査を受けられる場所

対象者には運転免許証の更新期間が満了する日の6カ月前を目途に、警察から高齢者講習と認知機能検査の通知ハガキが届きます。更新満了日の6カ月前から受検できますが、事前に予約が必要です。

認知機能検査は、公安委員会や委託された教習所で受けられます。予約方法や時間などの詳細は、通知ハガキに記載されているのでよく確認しましょう。東京都では従来の電話予約のほかに、2022年1月4日からWeb予約をスタートしました。

Web予約を利用すると、予約確認やキャンセルなどの操作も24時間行えます。

認知機能検査の判定と合否

認知機能検査は記憶力と判断力の状態を確認するものなので、合否判定を受けることはありません。結果は点数によって「認知症のおそれなし」と「認知症のおそれあり」のいずれかで判定され、当日または後日書面で通知されます。

総合点は次の計算式で算出されます。

【2.499×手がかり再生の点+1366×時間の見当識の点】

点数が36点以上の場合は「認知症のおそれなし」と判定され、2時間の高齢者講習に進むことが可能です。

一方、点数が36点未満の場合は「認知症のおそれあり」と判定され、高齢者講習に進めません。医師による診断書の提出が求められ、認知症と診断されると運転免許が停止または取消しとなり、更新できなくなります。


認知機能検査を通過後の運転免許更新の流れ

認知機能検査の総合点が36点以上の場合、また36点未満でも医師により「認知症でない」と診断された場合は次のステップである高齢者講習を受講することになります。ここでは、認知機能検査を通過後の運転免許更新の流れを解説します。

①高齢者講習を受講

高齢者講習は3種類あり、それぞれ内容や所要時間などが異なります。

種類 内容 所要時間 手数料
高齢者講習
  • 座学・運転適性検査(1時間)
  • 実車(1時間)
2時間 6,450円
特定任意高齢者講習
  • 座学・運転適性検査(1時間)
  • 実車(1時間)
2時間 6,450円
運転免許取得者教育
  • 座学・運転適性検査(1時間以上)
  • 実車(1時間以上)
2時間以上 教習所ごとに異なる

高齢者講習は、70歳以上の高齢ドライバーが受講する一般的な講習です。特定任意高齢者講習の内容や手数料は高齢者講習と同じですが、ほかの都道府県の居住者でも受講できます。運転免許取得者教育は運転技術の向上を目的とした講習で、受講すると高齢者講習が免除されます。

高齢者講習のより詳しい内容を知りたい方は、こちらの記事をチェックしてみてください。
高齢者講習とは?講習内容や受講から免許更新の流れまで徹底解説!

②高齢者講習と同時に該当者は運転技能検査を受ける

法改正後は、一定の高齢ドライバーに対して「運転技能検査」が導入されました。一定の高齢ドライバーとは運転免許証の更新期間が満了する日の年齢が75歳以上で、過去3年間に特定の交通違反歴がある人です。

該当者は認知機能検査の後、高齢者講習の受講と同時に運転技能検査の受検が義務づけられました。運転技能検査の内容と合格基準などは、次のとおりです。

内容
  • 検査員の指示に従って10分以上、1,200メートル以上走行
  • 一時停止:2回
  • 右左折:各2回
  • 信号通過:2回
  • 段差乗り上げ
所要時間 1時間程度
合格基準
  • 第一種免許:70点以上
  • 第二種免許:80点以上
手数料 3,550円

合格基準を満たさなければ免許更新できませんが、運転技能検査は合格するまで何度でも受検可能です。

③運転免許の更新手続き

高齢者講習や運転技能検査の後は、運転免許試験場や指定警察署などで更新手続きをしましょう。手続きできる場所は都道府県によって異なるため、更新の通知ハガキや警察の公式Webサイトなどで確認してください。

更新時には、次のものを持参しましょう。

【住所地で手続きする場合】

  • 運転免許証
  • 高齢者講習終了証明書
  • 更新手数料
  • 更新の通知ハガキ

【住所地以外で手続きする場合】

  • 運転免許証
  • 高齢者講習終了証明書
  • 更新手数料
  • 経由手数料
  • 写真1枚

住所地以外での手続きは優良運転者に限られます。また、指定警察署では受け付けていない場合もあるので注意しましょう。


運転免許の認知機能検査でよくある疑問

最後に、認知機能検査でよくある疑問に対する回答を紹介します。

認知機能検査の再検査は可能?

認知機能検査で「認知症のおそれあり」と判定されても、運転免許の更新期限までは何度でも受検できます。ただし、受検ごとに手数料がかかります。

認知機能検査を通過したのに免許更新できないことはある?

75歳以上の高齢ドライバーの場合、認知機能検査と高齢者講習の後に通常の更新手続きをします。更新時には、視力検査や聴力検査などの適性検査が行われます。視力検査に落ちると、残念ながら免許は更新できません。

ただし、メガネやコンタクトなどの視力矯正器具を作った後に、再検査の受検が可能です。

認知機能検査を通過できず運転免許が失効したらどうする?

認知機能検査で「認知症のおそれあり」と判定された場合には、医師による診断書の提出が求められます。医師から認知症と診断されると、運転免許が停止または取消しになります。

運転免許を失効した場合は、車以外の交通手段を検討しましょう。たとえば、バスや電車などの公共交通機関やタクシーなどです。このほかには、電動シニアカーも検討の余地があります。

電動シニアカーは車のように座りながら操作できる乗り物で、運転免許を取得する必要がありません。


認知機能検査は事前対策が可能

認知機能検査は、75歳以上の高齢ドライバーに義務づけられています。2022年5月13日からは改正道路交通法が施行され、3種類あった検査が「時間の見当識」と「手がかり再生」の2種類に変更されました。

手がかり再生は事前に覚えたイラストを思い出しながら進行するため、検査に不安がある方も多いでしょう。しかし、イラストや例題を無料公開しているサイトがあるため、事前対策が可能です。

落ち着いて受検できるよう、ポイントをおさえてスムーズな認知機能検査の通過を目指しましょう。

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