高齢者講習とは?講習内容や受講から免許更新の流れまで徹底解説!

高齢者講習とは?

運転免許証の更新期間が満了する時点での年齢が70歳以上の人は、高齢者講習を受講しなければなりません。高齢者講習は、70歳未満の人が受講する優良運転者講習や一般運転者講習とは内容が異なります。

本記事に辿り着いた人の中には70歳以上で免許を更新する予定の家族がおり、高齢者講習がどのようなものなのかよくわからない人も多いのではないでしょうか。本記事では高齢者講習を詳しく知りたい人に向けて、基礎知識や免許を更新する流れをまとめて解説します。

※ここから紹介する高齢者講習や認知機能検査の内容は、2022年5月13日以降に適用されるものです。2022年5月12日以前の制度内容とは異なりますのでご注意ください。


高齢者講習とは

70歳以上の人が免許を更新する場合は、「高齢者講習」と呼ばれる講習を受講しなければなりません。

高齢者講習では、座学講義と運転適性検査、実車による指導で構成されており、所要時間は2時間です。高齢者講習は道路交通法で受講が義務づけられているため、受講しなければ免許は更新できません。

道路交通法では、70歳以上の人が免許を更新する際の高齢者講習を1998年から義務化しています。高齢者講習が義務化された背景には、高齢者による交通事故が増えていることが影響しています。

高齢者講習の目的は、年齢とともに変化していく心身の状態を理解し、それに応じた運転を心がけることです。70歳未満の人が受講する優良運転者講習や一般運転者講習と同様に、高齢者講習は試験ではないので合否判定はありません。

70歳~74歳の人が免許更新する際に受ける

運転免許証の更新期間が満了する日(誕生日の1か月後の日)の時点で70歳以上の人は、自動的に高齢者講習の受講対象者となります。高齢者講習の対象者かどうかは、免許更新の案内ハガキで確認可能です。

高齢者講習を受講できる時期が近づくと、住所のある都道府県の公安委員会から案内ハガキが届くので必ずチェックしておきましょう。

70歳~74歳の人が受講する高齢者講習は2時間で手数料は6,450円です。

参考:高齢者講習などの流れ|高齢運転者支援サイト 

75歳以上は認知機能検査も必要

高齢者講習の対象者で75歳以上の人は、講習を受講する前に認知機能検査が必要です。

認知機能検査とは、ドライバーの記憶力や判断力をテストする検査です。

30分程度の時間をかけて次の2種類の検査が行われます。

検査の種類 内容
時間の見当識 検査時点での年月日や曜日、時間を回答
手がかり再生 16種類のイラストを記憶し、後から思い出して回答

認知機能検査の受講時には1,050円の手数料がかかります。

なお、2022年5月13日の法改正後は同日の受講が可能になります。それ以前は認知機能検査と高齢者講習は同日に受講できません。

認知機能検査についてより詳しく知りたい人はこちらの記事がおすすめです。
認知機能検査とは?対象となる人や項目・点数の違いなどを解説

認知機能検査に合格するコツについて知りたい人は以下の記事も読んでみてください。
高齢者講習前の認知機能検査のイラストの覚え方!出題の流れも解説

参考:認知機能検査と高齢者講習(75歳以上の方の免許更新) 警視庁


認知機能検査を受けた後の流れ

続いて、認知機能検査を受けた後の流れについて解説します。

認知機能検査は結果の点数によって「認知症のおそれがない」と「認知症のおそれあり」に分けられ、その後の流れが以下のように異なります。

点数 分類 認知機能検査後の流れ
36点未満 認知症のおそれがある者
  • 専門医の診断を受ける
  • 認知症の可能性がないと診断された場合は2時間の高齢者講習の受講後、免許更新に進む
  • 認知症と診断された場合は免許の取り消し等
36点以上 認知症のおそれがない者 2時間の高齢者講習の受講後、免許更新に進める

ここからは認知機能検査の点数ごとの検査後の流れについて、より詳しく解説します。

36点未満は「認知症のおそれあり」の判定

36点未満の場合、認知機能の低下が疑われ、「認知症のおそれあり」と判定されます。

この場合、すぐに高齢者講習には進めず医師の診断が必要になります。そのため、後日専門医を受診しなければなりません。

受診の結果、認知症でないと判断された場合は、2時間の高齢者講習を受講すれば免許を更新できます。

一方、認知症と判断された場合は高齢者講習に進めず、免許の更新はできません。

36点以上は「認知症のおそれなし」の判定

36点以上の場合は、認知機能が低下している可能性はなく、「認知症のおそれなし」と判定されます。

この判定を受けた後は、2時間の高齢者講習を受講すれば免許を更新できます。高齢者講習の受講に必要な手数料は、6,450円です。


高齢者講習の内容

続いては、高齢者講習の内容について見ていきましょう。

おもな講習の内容は次の3つに分けられます。

それでは、各項目を詳しく解説します。

座学講義

座学で行われる講義内容は、おもに次の通りです。

  • 道路交通の現状と交通事故の実態
  • 運転者の心構え
  • 安全運転の知識

道路交通の現状と交通事故の実態に関する講習では、地域の交通事故の現状や高齢者の交通事故の実態について指導があります。また、サポートカー限定免許など高齢者支援制度などの紹介も行なわれます。

運転者の心構えについての講習では、安全運転の基本の指導や交通安全意識の高揚、シートベルト着用の徹底などを目的とした指導がされます。

安全運転の知識に関する講習の内容は、認知機能を含む高齢者の身体機能の変化に応じた安全運転の指導や、危険予測と回避方法などです。道路交通法の改正による高齢者の免許制度に関する講義も行われます。

講義全体の所要時間はおよそ30分であり、必要に応じて指導員との質疑応答も行われます。

運転適性検査

高齢者講習では、運転適性器材による検査が行われます。運転適性検査の項目は次の通りです。

  • 静止視力
  • 動体視力
  • 夜間視力
  • 視野検査

静止視力で片側が0.3以下の場合は、視野検査が必要になります。動体視力と夜間視力が低下している人は、指導員から運転上の留意点が伝えられます。なお、静止視力以外の検査は免許を更新する際には行われません。

所要時間はおよそ30分です。

高齢者講習の視力検査について不安がある人はこちらの記事も読んでみてください。
高齢者講習で行われる視力検査の内容は?不合格の場合の対処法を解説

実車による指導

高齢者講習の中には、座学や運転適性検査のほかに実車が含まれています。実車では教習所のコース内を実際に運転し、次の課題が与えられます。

  • 右左折
  • 信号通過
  • 一時停止
  • クランク
  • S字カーブ
  • 段差乗り上げ
  • 指示速度による走行

課題の状況に応じ、指導員から安全運転に関する助言を受けます。所要時間はおよそ1時間です。


高齢者講習を受講するには

ここでは、高齢者講習を受講する場所や方法などを解説します。

高齢者講習が受講できる場所

高齢者講習が受講できる場所は、おもに次の通りです。

  • 運転免許試験場
  • 教習所

受講できる場所は都道府県ごとに異なります。自宅の近くに教習所があっても、公安委員会が業務委託していないところでは受講できません。

詳しくは、受講対象者に届く案内ハガキに記載されているので確認してみてください。案内ハガキが届く前に確認したい場合は、各都道府県の警察の公式ホームページまたは警察本部に問い合わせましょう。

高齢者講習の予約方法

高齢者講習は、免許の更新手続きのように指定された時間内に行けば受講できるものではありません。受講するためには予約が必要です。

高齢者講習の対象者には、更新期間満了日の約190日前に案内ハガキが届きます。案内ハガキに受講場所と予約方法が記載されているため、電話で予約をとりましょう。

なお、75歳以上の人が高齢者講習の前に受検する認知機能検査は、電話またはインターネットでの予約が可能です。都道府県の警察の中には、公式ホームページ上に予約状況を掲載しているところもあります。

高齢者講習の予約は早めにしよう

高齢者講習は混み合っており、希望する日時に予約がとれないこともあります。現状では、予約してから1~2ヵ月後に受講できるパターンが多いようです。都道府県によっては予約がとりにくいことがあるため、案内ハガキを受け取ったら早めに予約しましょう。

予約がとれなかった場合の対処法

万が一予約がとれなかった場合、高齢者講習を受講できなかったことが理由の期限延長はできません。

その場合は、運転免許試験場で特定失効者として手続きをする方法があります。

通常は、一度免許を失効すると学科試験や技能試験の受験が必要ですが、特定失効者として手続きすれば、認知機能検査と高齢者講習を受講した後に運転適性検査を受検するのみで免許が有効になります。


高齢者講習後の免許更新の流れ

70歳以上の人は、高齢者講習を受講しただけでは免許を更新できません。高齢者講習を受講した後は、次の流れで更新手続きを行います。

  1. 更新業務を行っている窓口にて更新申請
  2. 適性検査を受検
  3. 写真撮影
  4. 免許証の交付

免許の更新時にはほかの講習を受講する必要はなく、適性検査のみで免許証が交付されます。手続きの際には、免許証や案内ハガキのほかに高齢者講習終了証明書の持参が必要です。


2022年5月から実車試験も導入される

高齢者講習の実車では、指導員からの助言はあっても合否判定はされません。

しかし、2022年5月13日からは、一定の違反をしたことのある高齢者に対して合否判定のある実車試験が導入されることが決まっています。

実車試験の対象となる一定の条件は、更新時の誕生日の160日前から過去3年間に、次の違反歴がある場合です。

  • 信号無視
  • 通行区分違反
  • 通交帯違反
  • 速度超過
  • 横断等禁止違反
  • 遮断踏切立入り
  • 交差点右左折方法違反等
  • 交差点安全進行義務違反等
  • 横断歩行者等妨害
  • 安全運転義務違反
  • 携帯電話使用等

実車試験は100点満点からの減点式で採点されます。70点以上の場合は合格と判定されますが、「大型第二種免許、中型第二種免許又は普通第二種免許を受けようとし、又は現に受けている者」場合の合格点は80点以上です。

不合格になると、更新期間満了日までに合格しなければ免許が失効します。

実車試験についてより詳しく知りたい人向けに、以下の記事で詳しく解説しています。
高齢者講習の前に受ける運転技能検査とは?対象者や課題の内容をわかりやすく解説」


高齢者の免許更新は高齢者講習の受講が必要

70歳以上で免許の更新を希望する人は、高齢者講習を受講しなければなりません。75歳以上になると高齢者講習の前に認知機能検査を受検しなければならず、判定に応じてその後の流れが変動します。

多くの教習所でなかなか予約できない事態が起きているため、高齢者講習の案内ハガキが届いたらできるだけ早めに予約をとりましょう。

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