大型免許を取得して仕事に役立てたい、と検討中ではありませんか?
本記事では、大型免許(大型自動車免許)をこれから取得したい人のために、運転できる自動車の種類や取得条件を、わかりやすく解説します。取得までの費用や期間など、大型免許取得までの具体的な計画を立てるのに役立つ情報も満載です。
大型免許の取得で気になる疑問を解決し、自分にとってベストな免許取得方法を見つけていきましょう。
目次
大型免許とは?
大型自動車に分類される車を運転できる免許のことです。正式名称は「大型自動車第一種免許」「大型自動車第二種免許」になります。
一種と二種の違い
大型免許の一種と二種の違いは、二種はお客様が乗車するバスなども運転できる免許である、という点です。したがって、バスやタクシー、介護タクシー、運転代行など、運転技術を提供し働くプロのドライバーになるには、二種免許の取得が求められます。
ただし、大型自動車第一種免許でも、バスや大型トラックの運転自体は可能です。たとえば回送や試運転といった乗客を輸送しない場合の運転や、自家用車のバスの運転は、一種免許でも問題ありません。
大型免許で運転できる自動車の種類
免許の取得により運転できるようになる自動車の種類は、道路交通法による分類が用いられています。大型免許の取得により運転できる車種の特徴を、表にまとめました。
車種 | 車の特徴 |
大型自動車 |
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中型・準中型自動車 |
2007年に新設された「中型免許」という区分
2017年に新設された「準中型免許」という区分
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普通自動車 | 他のいずれにも該当しない自動車 |
小型特殊自動車・原付自転車 |
小型特殊自動車全長4.7メートル以下
原付自転車(原動機付自転車)
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大型免許の取得条件
ここでは、大型免許の取得条件を解説します。
基本的な必要条件
次の免許のうち、いずれかを取得してから運転経験が通算3年以上あり、取得を目指す時点で21歳以上であることが条件です。
- 普通車免許
- 準中型免許
- 中型免許
- 大型特殊免許
道路交通法の一部が2022年5月13日に改正され、19歳以上で受験資格特例教習を修了した場合、上記の免許を受けた期間が1年以上で免許を受験できます。
受験資格特例教習は、公安委員会に届け出をして認可された届出自動車教習所と公安委員会から指定を受けた指定自動車教習所で受けられるため、近くの教習所で受けられるか探してみましょう。
求められる身体条件
項目 | 条件 |
視力(裸眼もしくは眼鏡、コンタクトレンズ) | 両眼0.8以上、片眼0.5以上 |
深視力(奥行きを知覚する能力を測る) | 三桿法(さんかんほう)の測定を2.5メートルの距離で3度検査し、誤差の平均が2センチメートル以下 |
信号機の色(すでに免許を取得している場合は行わない) | 赤・青・黄の識別ができる |
聴力(補聴器の利用も可能) | 10メートルの距離で90デシベルの警音器が聞ける |
身体 | 自動車の運転に支障をきたす身体障害がない |
初めて検査を受けるほうが多い内容として、深視力の測定が挙げられます。これは大型自動車の運転に大切な、遠近感やものの奥行き、動的な遠近感など、目で見たものの距離などを捉える力を測る検査です。
また、身体障害がある場合は運転免許試験場(運転適性窓口)にて相談し、大型免許の取得が行えるか判断を受けましょう。障害名ではなく、現状に合わせた判断を受けられるため、その後の免許取得時にどのような用意が必要となるかなど、アドバイスも受けられます。
【取得方法別】大型免許の取得費用と期間
教習所に通う場合と合宿で取得する場合、2つの取得方法別に大型免許の取得費用と期間を解説します。
教習所に通う場合
取得している免許にあわせて、教習所で必要な学科や技能を受け、免許取得を目指す方法です。卒業検定に合格後、運転免許試験場で適性検査に合格できれば、大型免許が取得できます。
また、運転免許試験場へ直接申し込み、大型免許の一発試験を受けることも可能です。しかし厳しい基準が設けられた試験ばかりのため、難易度は必然的に高くなります。教習所で技能を身に着け、法規走行ができるようになったうえで受験する方法が一般的です。
取得費用
取得済みの免許によって必要なカリキュラムが異なるため、教習所に支払う費用も異なります。
所持免許 | 取得費用の目安 |
普通車免許(MT) | 300,000円~350,000円+仮免許費用(2,850円) |
準中型免許(5トン限定) | 360,000円+仮免許費用(2,850円) |
準中型免許 | 320,000円+仮免許費用(2,850円) |
中型免許(8トン限定) | 200,000円+仮免許費用(2,850円) |
中型免許 | 230,000円+仮免許費用(2,850円) |
上記取得費用はあくまで目安です。利用する教習所や通所の時期により価格は変わるため、事前によく確認しておきましょう。
取得期間
受けるべき学科や技能の時間は、取得済みの免許によって変わります。
所持免許 | 学科教習 | 技能教習 | 取得日数の目安 |
普通車免許(MT) | 1時限 | 30時限 | 3ヶ月前後 |
準中型免許(5トン限定) | 1時限 | 26時限 | 3ヶ月前後 |
準中型免許 | 0 | 23時限 | 2ヶ月~3ヶ月 |
中型免許(8トン限定) | 0 | 20時限 | 1.5ヶ月~2ヶ月 |
中型免許 | 0 | 14時限 | 1ヶ月~ |
教習所の空き具合や仕事との兼ね合いによっては、日数が短くなる、あるいは長くなる場合もあります。
合宿に参加する場合
教習所などに短期間泊まり込み、集中的に技能や教習に専念する方法です。教習所ごと、さまざまなプランが用意されています。
取得費用
所持免許 | 取得費用の目安 |
普通車免許 | 370,000円+仮免許費用(2,850円) |
準中型免許(5トン限定) | 330,000円+仮免許費用(2,850円) |
準中型免許 | 300,000円+仮免許費用(2,850円) |
中型免許(8トン限定) | 270,000円+仮免許費用(2,850円) |
中型免許 | 200,000円+仮免許費用(2,850円) |
費用を調べる際、合宿所によって食事費用や宿泊費用、追加費用の発生など、細かな違いが出ることに注意しましょう。延泊時の宿泊代など、卒業まで追加費用が発生しないプランがおすすめです。
取得期間
受けるべき学科や技能の時間については、通学で免許取得を目指す場合と変わりません。しかし、集中して教習を受けるため、取得にかかる日数が大きく違います。
所持免許 | 学科教習 | 技能教習 | 取得にかかる日数の目安 |
普通車免許(MT) | 1時限 | 30時限 | 14日~ |
準中型免許(5トン限定) | 1時限 | 26時限 | 12日~ |
準中型免許 | 0 | 23時限 | 11日~ |
中型免許(8トン限定) | 免除 | 20時限 | 10日~ |
中型免許 | 免除 | 14時限 | 7日~ |
たとえば中型免許を所持している人であれば、14時限(1時限は50分)の技能講習を7日前後集中して受けることで、大型免許の取得を目指せます。教習所近くで寝泊りするため、法規上決められた最大時間まで有効に教習を進められるのがメリットです。
できるだけ短期間で免許を取得したい、と考えている方ほど合宿免許が向いています。
一発試験を受ける場合
仮免許試験と本試験に、運転免許試験場で直接挑戦する方法です。次の流れで行います。
- 視力検査など適性試験を受ける
- 仮免許技能試験を受ける
- 路上で練習を本試験受験前3ヶ月以内に5日以(1日2時間)行う
- 本試験を受ける
- 取得時講習を受講する
- 免許証が交付される
路上で練習を行う際は、大型免許を受けている期間が通算して3年以上で、練習に使用する自動車を実際に運転できる人が助手席に同乗する必要があります。同乗してくれる人の確保や手続きは、自分で行わなくてはなりません。
取得費用
以下は、2023年1月時点での大型免許取得を直接目指す際に必要な費用です。
必要費用の内容 | 費用 |
受験料 | 4,100円 |
試験車使用料 | 2,500円 |
取得時講習受講料 | 22,000円 |
免許証交付料 | 2,050円 |
合計 | 30,650円 |
1回受験するごとに料金がかかるため、受験しても失敗してしまった場合はもう一度受験料を支払う必要があります。
取得期間
受験や講習、技能試験いずれも、予約が必要です。そのため、教習所へ通学するよりは短い期間にはなるものの、即日で大型免許が取得できるわけではありません。
仮免許の試験を受ける際も、各都道府県によって予約状況などにも違いはありますが、基本的に受験できるのは月曜日から金曜日までの平日のみとなります。混雑具合によっては、予約が数週間先になることも珍しくありません。
また、仮免許試験に合格した後は、最低でも5日以上、1日2時間の路上練習が必要です。同乗してくれる免許所有者と予定を合わせる必要もあり、人によっては3ヶ月の期間を過ぎてしまうケースもあります。
不合格になる可能性も踏まえると、大型免許を取得したい日程が決まっている場合は、スケジュールが明確になる教習所を活用したほうが良いでしょう。
大型免許の取得に使える補助金・助成金
教育訓練給付制度
雇用の安定や再就職の促進、キャリアアップを目的として、厚生労働大臣が指定する講習に対し、費用の一部を負担してもらえる制度です。
内容 | |
給付額 |
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働いている人の給付条件 |
働いている人で初めて制度を使う人
働いている人で制度を使うのが2度目の人
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離職している人の給付条件 |
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受け取るまでには、次の手順が必要になります。
- 最寄りのハローワークで「教育訓練給付金支給要件照会票」をもらう
- 教育訓練給付金制度が使える教習所を調べる
- 「教育訓練給付金支給要件照会票」へ記入して本人確認書類とともに提出
- ハローワークから「教育訓練給付金支給要件回答書」が届く
- 受け取った回答書をもって教習所へ入校する
- 卒業時に「教育訓練修了証明書」「領収書」「教育訓練給付金支給申請書」を受け取る
- 「教育訓練給付金支給申請書」を記入して必要書類とハローワークへ申請する
- 本人口座に給付金が振り込まれる
注意点は、教育訓練給付金制度を使える教習所が、国側から指定されている点です。ハローワークで事前に確認し、制度を使える教習所に申し込みましょう。
また、給付金の申し込みを行えるのは、教習所を卒業してから1ヶ月以内です。必要書類を捨ててしまう、といったミスも考えられるため、早めに手続きをしておくと良いでしょう。
地域ごとのトラック協会の助成金
運送会社によっては、所属する地域のトラック協会より助成金を受け取る制度を設けていることがあります。教育訓練給付金の対象にならなかった人でも、こちらの制度であれば助成金が受け取れる場合があるため、確かめてみましょう。
ただし、所属している会社や地域のトラック協会により、利用できるかどうかは異なります。事前に都道府県別のトラック協会や企業側へ確認しておきましょう。
大型免許の取得で気になる疑問
大型免許の取得は難しい?
一般的に、普通自動車に比べると取得の難易度が高いとされます。それは、次のような運転時の勝手の違いがあるためです。
- 車体が長く巻き込み事故が起きる可能性も高い
- 運転席の位置が普通自動車よりも高い
- 車両自体が大きくミラーで確認しきれない死角ができやすい
- 貨物の重量が増えてブレーキが効きづらくなることがある
運転技術を高めるには、安全第一を念頭に教習所で訓練を積むことが重要となります。これから免許の取得を目指す方で、時間にゆとりがある場合は、準中型免許や中型免許の取得から始めるのも手です。
大型免許はどの教習所でも取得できる?
大型免許が取得できる教習所は限られています。一つの都道府県の中でも取得できる教習所が限られた数しかない、ということも珍しくありません。
これは教習所に大型免許専用のコースを設けたり、車両をそろえたりする必要があり、普通車免許に比べると導入できる教習所が少ないためです。
したがって、大型免許を取得できる教習所が近くにない場合は、通学ではなく合宿を使うことも検討しましょう。合宿免許を活用すれば、短期間で取得を目指せる他、本試験に求められる安全第一の運転技能も身に着けやすいからです。
大型免許の取得は計画的に進めよう
大型免許はお客様を乗せて運転できるかどうかで、一種と二種の2つに分けられます。仕事に生かしたい内容にあわせて、どちらを受けるか決めましょう。免許を受ける資格の緩和は行われていますが、自分の今の資格で受けられるかの確認も大切です。
また、取得方法は教習所へ通学する方法と合宿免許、一発で取得を目指す方法の3通りがあります。大型免許の取得を目指せる教習所は限られているため、早めの行動が大切です。
自分に合う方法を選び、大型免許の取得に向けて一つずつ準備を進めていきましょう。