「バイクに乗りたいが、どの免許を取得するべきか迷っている」という人もいるのではないでしょうか。バイクの免許は全部で7種類あり、どれを取得するかで乗れるバイクの大きさが異なります。
乗りたいバイクが決まっている場合は、それに対応した免許の取得が必要です。そこで本記事では、バイク免許の種類や特徴を解説します。取得方法や費用などもあわせて解説するので、バイク免許の取得を目指している人はぜひこのまま読み進めてください。
バイク免許の種類と特徴
バイク免許は、原付免許や小型限定普通二輪免許など全部で7種類(2023年1月時点)あります。バイク免許の種類によっては、2人乗りや高速道路の走行が可能な免許もあります。免許の種類と特徴を把握し、自分に適したバイク免許の取得を目指しましょう。
免許の種類 | 排気量 | 対象年齢 | 法定速度 | 2人乗り | 高速道路走行 |
原付免許 | 50cc以下 | 16歳以上 | 一般道:時速30km | 不可 | 不可 |
小型限定普通二輪免許 | 125cc以下 | 16歳以上 | 一般道:時速60km | 可能 | 可能 |
AT小型限定普通二輪免許 | 125cc以下 | 16歳以上 | 一般道:時速60km | 可能 | 可能 |
普通自動二輪免許 | 400cc以下 | 16歳以上 |
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可能 ※条件つき |
可能 ※条件つき |
AT限定普通二輪免許 | 400cc以下 | 16歳以上 |
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可能 | 不可 |
大型自動二輪免許 | 制限なし | 18歳以上 |
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可能 | 可能 |
AT限定大型二輪免許 | 制限なし | 18歳以上 |
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可能 | 可能 |
原付免許
原付免許は、排気量が50cc以下のバイクの運転が可能な免許です。正式名称は、原動機付自転車免許と言います。原付免許の取得条件は、次の通りです。
- 年齢:16歳以上
- 視力:両眼0.5以上
- 色彩識別:赤・青・黄の識別ができること
- 聴力:なし
原付免許単体で取得する場合は学科試験のみで、普通免許のような仮運転免許技能検定や卒業検定(路上技能)は不要です。普通免許を取得済みであれば、新たに免許を取得する必要はありません。
原付免許では2人乗りや高速道路の走行ができないため、通勤や通学などの日常的な交通手段として利用したい人におすすめです。
小型限定普通二輪免許
小型限定普通二輪免許は、排気量が51cc以上125cc以下のバイクの運転が可能な免許です。小型限定普通二輪免許の取得条件は、次の通りです。
- 年齢:16歳以上
- 視力:片眼0.3以上、両眼0.7以上
- 色彩識別:赤・青・黄の識別ができること
- 聴力:10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえること
視力や聴力は、コンタクトレンズや補聴器などの矯正器具を使用しても問題ありません。
小型限定普通二輪免許を持っていれば一般道での2人乗りが可能です。ただし、2人乗りをするためには、免許取得から1年以上経過していなければなりません。
小型限定普通二輪免許は、日常的な交通手段として利用したい人やタンデムツーリングを楽しみたい人におすすめです。
AT小型限定普通二輪免許
AT小型限定普通二輪免許は、排気量が125cc以下のAT限定バイクの運転が可能な免許です。AT限定のバイクであれば、一般道での2人乗りもできます。
免許の取得条件は、小型限定普通二輪免許と同じです。
- 年齢:16歳以上
- 視力:片眼0.3以上、両眼0.7以上
- 色彩識別:赤・青・黄の識別ができること
- 聴力:10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえること
また、次のいずれかの方法でAT限定を解除したり、普通自動二輪免許を取得したりすることも可能です。
- 運転免許試験場で審査を受ける
- 指定自動車教習所で教習と審査を受けたうえで運転免許試験場で手続きする
AT限定を解除すると、AT車とマニュアル車の両方の車種の運転ができるようになります。普通自動二輪免許の取得を目指し、まずはAT小型限定普通二輪免許でバイクの運転に慣れておきたい人におすすめです。
普通自動二輪免許
普通自動二輪免許は、400cc以下のバイクの運転が可能な免許です。普通自動二輪免許の取得条件は、次の通りです。
- 年齢:16歳以上
- 視力:片眼0.3以上、両眼0.7以上
- 色彩識別:赤・青・黄の識別ができること
- 聴力:10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえること
一般道の場合、免許を取得してから1年以上経過していれば2人乗りできます。さらに、次の条件を満たしていれば、高速道路で2人乗りが可能になります。
- 運転者の年齢が20歳以上
- 免許を取得してから3年以上経過していること
- 排気量126cc以上かつ定員2名以上のバイクであること
また、排気量が250cc以下のバイクであれば、車検が不要です。普通自動二輪免許を持ちつつランニングコストを抑えたい人は、250cc以下のバイクがおすすめです。
AT限定普通二輪免許
排気量400cc以下のAT限定バイクの運転が可能な免許です。免許の取得条件は、普通自動二輪免許と同様です。
- 年齢:16歳以上
- 視力:片眼0.3以上、両眼0.7以上
- 色彩識別:赤・青・黄の識別ができること
- 聴力:10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえること
運転者の年齢が20歳以上、免許を取得してから3年以上経過しているなどの条件を満たしていれば、高速道路で2人乗りもできます。
また、次のいずれかの方法でAT限定を解除することも可能です。
- 運転免許試験場で審査を受ける
- 指定自動車教習所で教習と審査を受けたうえで運転免許試験場で手続きする
普通二輪免許にAT限定免許が追加されたのは、2005年のことです。当時はAT限定の車種は限られ、スクータータイプがほとんどでした。しかし、最近はAT限定でもさまざまなタイプが展開されています。
さらに、AT限定普通二輪免許は普通自動二輪免許よりも学科教習や技能教習の時間が短いため、スピーディーに免許を取得できます。操作しやすいバイク免許をできるだけ早く取得し、自分好みのバイクに乗りたい人にはAT限定普通二輪免許がおすすめです。
大型自動二輪免許
大型自動二輪免許は排気量に制限がなく、すべてのバイクの運転が可能な免許です。大型自動二輪免許の取得条件は、次の通りです。
- 年齢:18歳以上
- 視力:片眼0.3以上、両眼0.7以上
- 色彩識別:赤・青・黄の識別ができること
- 聴力:10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえること
一般道の場合、免許取得から1年以上経過していれば2人乗りが可能です。また、次の条件を満たせば高速道路でも2人乗りできます。
- 運転者の年齢が20歳以上
- 免許を取得してから3年以上経過していること
- 排気量126cc以上かつ定員2名以上のバイクであること
大型バイクは強力なエンジンを兼ね備えているため、加速力が抜群です。ストレスなく加速できるため、高速道路での安定感に優れています。また、中型バイクよりもリアシートが広く、大きな荷物を積むことも可能です。
大型自動二輪免許で乗れるバイクは長時間の運転でも疲れにくいため、遠距離のツーリングを楽しみたい人におすすめです。
AT限定大型二輪免許
排気量に制限なく、すべてのAT限定バイクの運転が可能な免許です。免許の取得条件は、大型自動二輪免許と同様です。
- 年齢:18歳以上
- 視力:片眼0.3以上、両眼0.7以上
- 色彩識別:赤・青・黄の識別ができること
- 聴力:10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえること
運転者の年齢が20歳以上、免許を取得してから3年以上経過しているなどの条件を満たしていれば、高速道路で2人乗りもできます。
また、次のいずれかの方法でAT限定を解除することも可能です。
- 運転免許試験場で審査を受ける
- 指定自動車教習所で教習と審査を受けたうえで運転免許試験場で手続きする
近年では、400cc以上のビックスクーターやハーレーに乗りたいという理由でAT限定解除する人も多いようです。まずはAT限定バイクの運転に慣れておき、いずれはマニュアル車のバイクの運転を目指したい人におすすめです。
バイク免許の取得方法
バイク免許を取得するには、複数の方法があります。それぞれ特徴が異なるため、自分に適した方法を選ぶようにしましょう。
教習所に通学する
バイク免許を取得する方法の中で最もスタンダードなのは、自動車教習所への通学です。教習所には、大きくわけて次の3種類があります。
- 指定自動車教習所
- 届出自動車教習所
- 自動車練習施設
上記のうち、運転免許試験場で技能試験が免除されるのは指定自動車教習所だけです。指定自動車教習所とは、公安委員会から指定されている自動車教習所です。道路交通法で定められたカリキュラムに沿って教習を進めるため、卒業生は技能試験が免除されます。
指定自動車教習所に入校後は学科教習や技能教習を受け、卒業検定に合格すれば本免学科試験に進むことが可能です。なお、普通免許を持っている場合は、学科教習の一部が免除されるため、より早い期間で免許を取得できます。
教習所の合宿免許を利用する
より早くバイク免許を取得したい場合は、自動車教習所の合宿免許を利用するとスムーズです。合宿免許では一定期間宿泊施設に滞在し、免許取得に向けた学科教習や技能教習を集中して受けられます。
【自動車教習所への通学】
特徴 | 学科教習や技能教習を受け、卒業検定に合格すれば本免学科試験に進む |
メリット |
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免許取得までの最短日数の目安 | 15日程度 |
【合宿免許】
特徴 | 一定期間宿泊施設に滞在し、免許取得に向けた学科教習や技能教習を集中して受ける |
メリット |
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免許取得までの最短日数の目安 | 8日程度 |
自動車教習所に通学する場合、免許取得までに15日程度の期間がかかります。一方で合宿免許の場合、8日程度での取得も可能です。合宿免許は一定期間宿泊施設に滞在するため、仕事や学業などのスケジュール調整が必要です。
一発試験をクリアして取得する
バイク免許は自動車教習所への通学や合宿免許の他に、「一発試験」と呼ばれる方法で取得することも可能です。
一発試験では、運転免許試験場で適性試験や本免学科試験、技能試験を受ける必要があります。普通免許を持っている場合は、適性試験や本免学科試験が免除されます。
一発試験は、運転免許試験場のコースを走行しなければなりません。そのため、初心者が一発試験で合格するのは難しいのが現状です。
一発試験はバイク免許の有効期限が失効した場合や免許の取消を受けた場合など、一定以上の運転経験がある人に向いています。
バイク免許を取得するときの手順
バイク免許を取得する際の手順は、どの方法を選ぶかで異なります。ここからは、バイク免許を取得する際の手順を方法別に解説します。
教習所に通う場合
指定自動車教習所に通学する場合、次の手順でバイク免許が取得できます。
- 指定自動車教習所に入校
- 運転適性検査を受ける
- 第一段階の学科教習と技能教習を受ける
- 第二段階の学科教習と技能教習を受ける
- 卒業検定を受ける
- 卒業証明書を受け取る
- 運転免許試験場に行く
- 本免学科試験を受ける
- 適性試験を受ける
- バイク免許を受け取る
学科教習と技能教習の時間は、「普通免許以上の免許を持っている場合」と「免許なしまたは原付免許を持っている場合」で異なります。
免許の有無 | 第一段階 | 第二段階 |
普通免許以上の免許を持っている場合 |
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免許なしまたは原付免許を持っている場合 |
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すでに普通免許以上の免許を持っている場合、運転免許試験場での本免学科試験が免除されます。また、通学と合宿免許では同じカリキュラムに沿って進めていくため、学科教習と技能教習の内容や時間に違いはありません。
一発試験を受ける場合
運転免許試験場で一発試験を受ける場合、次の手順でバイク免許が取得できます。
- 運転免許試験場に行く
- 本免学科試験を受ける
- 適性試験を受ける
- 技能試験を受ける
- 取得時講習を受ける
- 応急救護講習を受ける
- バイク免許を受け取る
すでに普通免許以上の免許を持っている場合、本免学科試験が免除されます。教習所に通う場合と大きく異なるのは、各種試験をこなした後に取得時講習と応急救護講習を受ける必要があることです。
一発試験の場合、学科教習や技能教習が不要なので、最短1日でバイク免許の取得が可能です。
バイク免許の取得に必要な費用
バイク免許を取得するためには、教習費用や受験費用などの費用がかかります。費用は、バイク免許の種類や取得方法などで異なります。
教習所に通う場合
指定自動車教習所に通学する場合、バイク免許の種類ごとに費用が異なります。
免許の種類 | 普通免許以上の免許を持っている場合 | 免許なしまたは原付免許を持っている場合 |
原付免許 | 4,200円程度 | 4,200円程度 |
小型限定普通二輪免許 | 70,000円~80,000円程度 | 11万円~13万円程度 |
AT限定小型限定普通二輪免許 | 60,000円~70,000円程度 | 10万円~12万円程度 |
普通自動二輪免許 | 90,000円~10万円程度 | 13万円~17万円程度 |
AT限定普通二輪免許 | 80,000円~90,000円程度 | 11万円~15万円程度 |
大型自動二輪免許 | 12万円~18万円程度 | 23万円~25万円程度 |
AT限定大型二輪免許 | 12万円~14万円程度 | 19万円~20万円程度 |
普通免許以上の免許を持っている場合は一部の学科教習が免除されるため、免許なしまたは原付免許を持っている場合に比べて費用が安くなります。
ただし、表中の費用はあくまでも目安で、指定自動車教習所によって異なるため、事前に確認するようにしましょう。
バイク免許の取得費用を抑えたい場合、合宿免許を利用するのも手段の一つです。合宿免許の費用には宿泊費や食費も含まれていますが、指定自動車教習所に通学するよりも費用が安く設定されているのがほとんどです。なお、合宿免許の費用も指定自動車教習所ごとに異なるため、事前に確認が必要です。
一発試験を受ける場合
運転免許試験場で一発試験を受ける場合、教習費用が不要なので、指定自動車教習所への通学や合宿免許に比べて費用を抑えられます。一発試験での取得費用は、20,000円程度です。各項目の内訳は、次の通りです。
免許の種類 | 費用相場 |
普通自動二輪免許 |
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大型自動二輪免許 |
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手数料や講習料は地域によって異なる場合があるため、事前に確認が必要です。
※出典元:一般社団法人日本二輪車普及安全協会「これから免許を取得する方へ免許取得情報」
バイク免許に関するQ&A
最後に、バイク免許に関するQ&Aを紹介します。
取得するための条件は?
バイク免許を取得するための条件は、種類によって異なります。
免許の種類 | 年齢 | 視力 | 色彩識別 | 聴力 |
原付免許 | 16歳以上 |
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赤・青・黄の識別ができること | なし |
小型限定普通二輪免許 |
|
10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえること | ||
AT限定小型限定普通二輪免許 | ||||
普通自動二輪免許 | ||||
AT限定普通二輪免許 | ||||
大型自動二輪免許 | 18歳以上 | |||
AT限定大型二輪免許 |
片眼の視力が0.3に満たないまたは見えない場合は、他の眼の視野が左右150度以上かつ視力が0.7以上あれば問題ありません。
バイクを運転するために必要な手続きは?
全てのバイクには、自動車と同様に自動車損害賠償責任保険への加入が義務づけられています。未加入のバイクを運転すると、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられるので注意しましょう。事故を起こした場合は、莫大な賠償金を支払わされるケースもあります。
また、購入したバイクが新車の場合は陸運局で新規登録、中古車の場合は名義変更の手続きが必要です。
免許取得費用を安くする方法は?
バイク免許の取得費用をおさえるためには、次のような方法があります。
- 合宿免許で取得する
- 一発試験で取得する
合宿免許と一発試験は、指定自動車教習所に通学する場合に比べて費用が安く設定されています。一発試験は教習費用が不要なので、20,000円~20,450円程度でバイク免許の取得が可能です。
自分に合ったバイク免許の種類を選ぼう
バイク免許は、原付免許や普通自動二輪免許など全部で7種類あります。免許の種類によって運転できるバイクや高速道路走行の有無などが異なるため、自分の目的にあわせて選ぶことが大切です。
また、AT限定のバイク免許でも、運転免許試験場や指定自動車教習所で審査を受ければAT解除することも可能です。AT解除すれば、運転できるバイクの幅が広がります。将来的にAT解除を想定している場合は、まずはAT限定免許を取得するのも選択肢の一つです。AT限定免許はMTよりも早く取得でき、取得費用も安く済みます。
取得方法によって費用や期間が異なるため、重視したい項目を整理して自分に適したバイク免許を取得しましょう。