車の運転には、免許証の携帯が欠かせません。免許証を紛失したら車を運転できないのはもちろん、第三者による悪用などさまざまなリスクが生じます。
中には、「そのまま放置するとどうなるの?」「再交付手続きの方法がわからない」など、不安や疑問を感じている人もいるかもしれません。
ここでは、免許証を紛失したらまずするべきことと、そのまま放置した場合に起こりうるリスク、また、再交付手続きの手順や必要書類などを詳しく紹介します。
目次
運転免許証を紛失した際にまずやるべきこと
運転免許証を失くしたことに気づいたら、できるだけ早めに行動を起こしましょう。
紛失したと思われる場所に連絡
紛失した場所に心当たりがある場合は、まず免許証を落とした、忘れたと思われる場所に連絡を入れましょう。
店舗や電車・バスなどの交通機関に直接尋ねたり、最寄りの交番に届けられていないかを確認してください。
利用した交通機関がJRであれば、「お問い合わせセンター(落とし物)」に電話で問い合わせるほか、チャット形式で、紛失した日時や場所を入力しネットから紛失物を確認することも可能です。
警察署の場合、電話や各都道府県の「落とし物検索ページ」から、紛失物を確認することもできます。
参考:JR東日本 お忘れ物チャット
参考:都道府県警察における遺失物の公表ページ
警察に遺失物届を出す
各所へ確認しても免許証が見つからなかった場合は、最寄りの交番や警察署に遺失物届を提出しましょう。
遺失物届を出すことで、見つかった場合に連絡がもらえるほか、第三者による免許証の悪用を防ぐことが可能です。
遺失物届に記載するのは、次のような項目です。
- 紛失日時
- 紛失場所
- 紛失物の特徴
- 見つかった場合の連絡先
なお、地域によっては、遺失物届の提出をインターネット(電子)で申請することが可能です。
「都道府県名 警察署 ネット申請」などと検索して、対応できる地域かどうかを確認すると良いでしょう。
信用情報機関で本人申告をおこなう
警察の遺失物届に加え、信用情報機関で本人申告を行うと、第三者による免許証の悪用リスクをより軽減できます。
信用情報機関とは、加盟する金融機関やクレジットカード会社から、信用情報の収集、管理をする機関のことです。
本人申告は、免許証を紛失した旨を信用情報機関に申告し情報を登録する制度で、手数料は発生するものの、申告はインターネットや郵送で手続きできます。
信用情報機関には、指定信用情報機関(クレジット会社系)、全国銀行協会(銀行・信用金庫系)、日本信用情報機構(消費者金融系)などがあります。
各信用情報機関で本人申告を行えば、第三者による銀行口座の開設やクレジットカードの開設などを、未然に防止することが可能です。
【連絡先一覧】
信用情報機関 | 携帯電話携帯電話 | フリーダイヤル | 受付時間 |
---|---|---|---|
指定信用情報機関
(CIC) |
0570-666-414 | 0120-810-414 | 平日 10:00~16:00 |
一般社団法人
全国銀行協会 |
03-3214-5020 | 0120-540-558 | 平日 9:00~17:00 |
日本信用情報機構
(JICC) |
0570-055-955 | 0120-441-481 | 平日 10:00~16:00 |
参考:指定信用情報機関(CIC)
参考:一般社団法人 全国銀行協会
参考:日本信用情報機構(JICC)
運転免許証を紛失したままにするとどうなるのか
運転免許証を紛失したまま放置すると、さまざまなリスクが生じます。普段、「あまり運転しない」という人でも油断は禁物です。
車の運転ができない
車を運転するには、運転免許証の携帯が法律で義務付けられています。
盗難による紛失など、自分に非がない場合でも、無免許運転は刑事罰の対象になるので注意が必要です。
道路交通法第95条第1項にも、「免許を受けた者は、自動車等を運転するとき、当該自動車等に係る免許証を携帯していなければならない」と定められています。
免許証不携帯が発覚しても、違反点数の加点はなく、ゴールド免許や自動車保険の適用に影響することはありません。ただし、後日反則金3,000円を納付することになります。
日常的に車を運転する人や、仕事で車が欠かせないという人は、できるだけ速やかに再発行の手続きを行いましょう。
第三者に悪用される可能性がある
免許証を紛失したまま放置すると、第三者に悪用される可能性があります。
運転免許証は身分証明書の役割も果たすため、何者かが消費者金融で借金をして身に覚えのない請求書が届いたり、携帯電話を契約されたりするケースがあるのです。
また、出会い系サイトへの登録や、免許証記載の住所に頼んでもいない大量の出前が届くなど、いたずらに利用される事例もあります。
場合によっては、銀行口座を開設されて、振り込め詐欺などの犯罪に利用される可能性も皆無ではありません。
被害を最小限に食い止めるためにも、運転免許証を紛失したら、できるだけ早めに紛失届を出しましょう。
有効期限が切れると運転免許証の再交付申請ができなくなる
再交付申請自体に期限はありませんが、免許証の有効期限には注意が必要です。有効期限が切れると、免許証が失効して再交付申請ができなくなるからです。
有効期限内に紛失した場合は、できるだけ早めに再交付申請を行いましょう。なお、再交付申請と更新手続きは、同時に行うことができます。
免許証の更新期間は、有効期限満了である誕生日の1カ月前から1カ月後の2カ月間です。
「再交付を伴う運転免許証の更新手続き」を申請すると、手数料は更新手続き分のみで、再交付分は支払う必要がありません。
なお、やむを得ない理由がなく更新期限を過ぎてしまった場合は、講習や試験を再び受けなおす必要があります。
【やむを得ない理由がない場合の手続き内容】
手続きを行う期間 | 内容 |
---|---|
6カ月以内 | 適性試験(視力検査など)と講習のみ |
6カ月以上1年以内 | 講習と試験を受け合格すれば免許証交付 |
1年以上 | 免許証の再取得が必要 |
参考:警視庁
運転免許証を紛失した際の再交付手続きの流れ
免許証が見つからなかった場合は、住所管轄の警察署か運転免許試験場、もしくは免許センターに出向き、免許証の再交付手続きを行います。
手続きできる施設は地域によって異なるため、あらかじめ各都道府県の警察署に問い合わせるかウェブサイトで確認しましょう。
受付時間は平日のみで、土・日・祝日・年末年始は休日です。手続きは原則として本人が行い、代理人による申請はできません。
次に紹介するのは、運転免許試験場での再交付手続きの大まかな流れです。
【再交付手続きの流れ】
- 申請書の作成
- 受付
- 暗証番号の設定(4桁の暗証番号を2組)
- 申請用の写真撮影
- 交付
まず、窓口に設置してある申請書に必要事項を記入し、4桁の暗証番号を2組設定します。その後、申請用の写真撮影をして免許証が交付される流れです。
免許証が再交付されるまでの期間は、免許センターと運転免許試験場が即日、警察署は2週間から3週間後となります。
運転免許証の再発行に必要なもの
ここでは、運転免許証の再発行に必要なものを紹介します。事前に用意して手続きをスムーズに進めましょう。
- 申請用紙
- 写真
- 身分証明書
- 手数料と暗証番号
申請用紙
申請用紙には、免許証を再交付するための「運転免許証再交付申請書」と、免許証を紛失、盗難したことを知らせる「運転免許証紛失・盗難てん末書」の2種類があります。
申請用紙は窓口で入手できるため、前もって用意する必要はありません。
各都道府県によって、記載する項目の順序などに違いがあるので、担当者の指示に従って必要事項を記載しましょう。
写真
申請書用の写真も1枚必要です。これは、身分確認に使用されるもので、運転免許証用ではありません。
サイズは縦3.0センチメートル、横2.4センチメートルで、スピード写真機や写真館などで撮影した場合は、切らずにそのまま提出することも可能です。
有効なのは、無帽、無背景、正面、上三分身の、顔を識別できる鮮明な写真で、申請前6カ月以内に撮影したものに限ります。
持参することもできますが、免許センターや運転免許試験場に設置されているスピード写真機(有料800円)を利用し、当日撮影することも可能です。
申請場所によっては写真機が設置されていない場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
身分証明書
申請者の氏名が記入されている、マイナンバーカードや健康保険証など、身分を証明するものも用意しましょう。
パスポートや写真付きのマイナンバーカードなどは1点、住民票や保険証などは、異なる種類の証明書を2点以上組みあわせて提出します。
遺失物届を出している場合は、受理番号が確認できる届出の控えや写真、メモなども持参してください。
【再交付に必要な身分証明書】
1点で済むもの |
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2点以上必要なもの |
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手数料と暗証番号
再交付手続きには、2,250円の手数料がかかります。
再交付と更新手続きを同時に行う際の手数料は、再交付分が不要となり、更新にまつわる手数料のみの支払いとなります。
また、暗証番号はIC免許証を発行するためのもので、4ケタの数字が2組必要です。
免許証に内蔵されたICチップには、個人情報や顔写真が記録され、偽造による悪用を防ぐ働きがあります。
番号は、誕生日や電話番号のようなわかりやすいものではなく、できるだけ第三者が推測しにくい数字を設定しましょう。
運転免許証を再交付する際の注意点
最後に、再交付の受付時間や、代理人による申請の可否、また古い免許証が見つかった場合に取るべき行動など、運転免許証を再交付する際の注意点を紹介します。
受付時間を確認する
再交付手続きの受付時間は、事前に確認しておきましょう。
免許証を再交付できるのは、警察署と運転免許試験場、免許センターの3施設ですが、手続きできる場所や受付時間は、地域によっても異なります。
前もって各都道府県の警察署に問い合わせるか、ホームページで場所を確認し受付時間をチェックしておくと安心です。
なお、手続きできるのは、原則、3施設とも月曜日から金曜日までの平日で、土・日と祝日、年末年始は休日となります。
代理人による申請はできない
免許証の再交付は、どのような事情があろうとも、必ず本人が手続きを行います。代理人による申請は不可のため注意しましょう。
住所変更などに必要な、「運転免許証記載事項変更届」の手続きには代理人を立てることができますが、再交付手続きと更新手続きは、必ず本人が申請する必要があります。
手続きを滞りなく進めるためにも、申請を行う施設の受付時間にあわせて、都合の良い日時を事前に確保しておきましょう。
急ぎなら運転免許試験場か免許センターで手続きをする
交付を急ぐ場合は、運転免許試験場か、免許センターでの手続きをおすすめします。
警察署の場合、再発行は後日になりますが、運転免許試験場と免許センターであれば、書類に不備がない限り当日の再発行が可能です。
手続きから再発行にかかる時間は、運転免許試験場と免許センターが1時間から2時間、警察署は2週間から3週間かかります。
【再発行できる施設と発行にかかる時間】
施設 | 発行にかかる時間 |
---|---|
警察署 | 2週間~3週間(後日発行) |
運転免許試験場・免許センター | 1時間~2時間(即日発行) |
免許証が見つかったら返納する
再交付後に、紛失した古い免許証が見つかった場合は、運転免許試験場か免許センター、もしくは警察署に返納します。
返納するのは古い免許証で、再交付した免許証ではありません。間違えて新しい免許証を返納しないよう注意しましょう。
ちなみに、暗証番号の末尾は免許証の紛失回数を表しています。再交付すると0が1となり、再び再交付すると1が2となる仕組みです。
免許証の末尾が小さい数字のものかを良く確認して返納しましょう。
運転免許証を紛失したら速やかに対処することが大切
免許証の紛失を放置したままにすると、車の運転ができないばかりか、第三者によって不正に使用されるなどさまざまなリスクが生じます。
紛失したら、まずは失くしたと思われる場所に連絡しましょう。見つからなかった場合は、警察署に遺失物届を提出します。
免許証を再交付する際は、手続きが可能な施設と受付時間を確認して、代理人ではなく必ず本人が申請を行って下さい。
有効期限が切れると再交付できないため、免許証を失くしたことに気付いたら、なるべく早めに行動するのがポイントです。