学科試験の合格は90点以上!そのほか採点方式も解説!
運転免許を取得するためには、本来学科試験のほかに実技試験に合格する必要があります。ただし、指定自動車教習所を卒業した場合は、実技試験が免除されます。一般社団法人全日本指定自動車教習所協会連合会によると、新規免許取得者の約97%が指定自動車教習所の卒業者であることがわかっています。
指定自動車教習所を卒業しているなら、学科試験の合格に向けて集中できます。自分が卒業した場所が指定自動車教習所かどうかは、一般社団法人全日本指定自動車教習所協会連合会の公式ホームページで確認可能です。
ここでは本免学科試験の点数はどのような仕組みで採点されるのか、何点以上取れば合格なのかを解説します。
学科試験の合格は90点以上!
本免学科試験は100点を満点とする採点方式で、90点以上で合格になります。警察庁交通局運転免許課の「運転免許統計 令和2年版」によると、過去5年間の合格率は76.0%であることがわかっています。
年別 | 受検者数 | 合格者数 | 合格率 |
平成28年 | 268万8,903人 | 203万3,657人 | 75.6% |
平成29年 | 265万4,286人 | 200万8,301人 | 75.7% |
平成30年 | 260万6,179人 | 197万7,902人 | 75.9% |
令和元年 | 260万9,625人 | 195万9,218人 | 75.1% |
令和2年 | 263万1,408人 | 204万4,994人 | 77.7% |
※出典元:警察庁交通局運転免許課「運転免許統計 令和2年版」
90点以上で合格している人は多いため、決して難易度が高い試験ではないことがわかります。その一方で、毎年30%程度の人は不合格になっているのが現状です。不合格になっても、仮免許を取得して6ヵ月以内なら何度でも受験できます。
本免学科試験を受験するためには、試験手数料1,750円の支払いが必要です。受験の度に手数料が発生してしまうので、一発合格を目指しましょう。
技能試験は減点方式
指定自動車教習所を卒業していない場合、学科試験のほかに技能試験の受験が必要です。
技能試験は、学科試験と異なり減点方式です。配点の詳細は公表されていませんが、試験終了時に70点以上残っていれば合格になります。
途中で70点を下回ると、その時点で試験が終了してしまいます。技能試験でのおもな内容と減点は、次の通りです。
内容 | 減点 | |
安全措置 |
| 5~10点 |
運転姿勢 |
| 5点 |
アクセル |
| 5点 |
エンスト | エンスト | 10点 |
逆走 |
|
|
発進手間どり |
| 10点 |
発進不能 |
| 中止 |
速度維持 | 加速不良と通常出し得る速度を維持しない | 10点 |
合図不履行 |
| 5点 |
安全不確認 | 路端から発進する直前に全方向を確認しない | 10点 |
惰力走行 |
| 5点 |
制動操作不良 |
| 5~10点 |
速度速過 |
| 10~20点 |
暴走 | ブレーキやハンドルのコントロールを失って危険な状態 | 中止 |
切り返し | 切り返しをする必要のない状況で切り返す | 10点 |
急ハンドル | 走行中に急激なハンドル操作をする | 10点 |
ふらつき |
| 10点または中止 |
通過不良 | S字・クランク・方向変換・縦列駐車で切り返しを4回行った | 中止 |
停止位置不適 | 停止線から2m以上手前で停止 | 5点 |
巻き込み防止措置不適 | 左折時にバイクや自転車が直前や横にいた時に先行させない | 10点 |
側方間隔不保持 | 動く可能性のある障害物から1m以上離れないで通過した | 20点 |
脱輪 |
| 10点または中止 |
接触 | 障害物等に車体が強く接触 | 中止 |
路側帯進入 | 0.75m以下の幅の路側帯に車体が入るまたは入ろうとした | 20点 |
進行帯違反 | 右折や追い越し、障害物を避ける以外で右側の斜線を500メートル以上走行 | 10点 |
追いつかれ義務違反 | 追い越される際に試験車両が加速した | 10点 |
バス等優先通行帯違反 | 路線バス優先通行帯から出られないのに走行または使用した | 10点 |
軌道敷内違反 | 軌道敷内を走行 | 10点 |
右側通行 | 反対車線にはみ出して走行 | 中止 |
安全地帯等進入 | 安全地帯や立ち入り禁止部分に立ち入るまたは立ち入ろうとした | 中止 |
進路変更違反 | 交差点の左折時に左側に寄せない | 10点 |
進路変更禁止違反 | みだりに進路を変えた | 20点 |
後車妨害 | 進路変更の際に後続車に影響を与える | 中止 |
右左折方法違反 | 左折時に左後輪が道路の角から1m以上離れた | 5点 |
安全進行違反 | 交差点を直進する際に状況に応じて安全な速度で進行しない | 10点 |
課題不履行 | 指定した場所に停車しない | 10点 |
徐行違反 | 安全地帯に停車中の路面電車の左側を通過 | 20点 |
進行方向別通行区分違反 | 右折・左折・直進のレーンが分かれているにも関わらず、その方向別に従わなかった | 20点 |
交差点等進入禁止違反 | 渋滞している交差点内で停止する | 20点 |
信号無視 | 赤色の信号で停止位置を超える | 中止 |
優先判断不良 | 進路妨害ほどではないが、優先車に対して減速させた | 20点 |
進行妨害 | 優先すべき車に対して進行妨害 | 中止 |
指定場所一時不停止 | 一時停止場所で停止しなかった | 中止 |
泥はね運転 | 水たまりで泥水等をはねて他人に迷惑を及ぼした | 10点 |
横断者保護違反 | 横断歩道を渡ろうとしている人がいるかいないのか明らかでないにも関わらず、停止線の直前で停止できるような速度にしない | 20点 |
歩行者保護不停止等 | 歩道を横切る際に一時停止しない | 中止 |
安全間隔不保持 | 歩行者や自転車が自動車に気がついている時は1m以上、気がついていない時は1.5m以上の間隔を保たずに通過しようとした | 中止 |
踏切内変速 | 踏切通過中にギアチェンジ | 5点 |
駐車措置違反 | 自動車から降りる時にパーキングブレーキをかけないまたはエンジンを止めない | 10点 |
警音器使用制限違反等 | みだりにクラクションを鳴らした | 10点 |
急ブレーキ禁止違反 | 後続車に追突されることになるような減速または停止をしたなど | 10点 |
車間距離不保持 | 車間を詰め過ぎる | 10点 |
駐停車方法違反 | 駐停車する際に道路の左側端からタイヤが0.3m以上離れている | 10点 |
緊急車妨害 | 緊急自動車が近づいてきた時に交差点を避けて左側に寄せて停止しない | 20点 |
合図車妨害 | 右左折レーンに入るために進路変更をしようとしている自動車に対して譲らない | 20点 |
速度超過 | 決められた最高速度を超えた | 20点 |
踏切不停止 | 踏切手前で一時停止せずに通過しようとした | 中止 |
追い越し違反 | 追い越す際にひとつ右の車線以外で追い越しした | 中止 |
割り込み | 停止または徐行の自動車の前に割り込む | 中止 |
安全運転義務違反 | 安全に運転できておらず試験官が補助ブレーキを使用または注意された | 中止 |
安全運転意識 | ほかの交通に迷惑を与えるまたは危険を及ぼした | 10点 |
駐停車異変 | 駐停車禁止区間での駐停車 | 20点 |
駐車違反 | 週車禁止区間での駐車 | 10点 |
通行禁止違反等 | 通行禁止されている道路を通行した | 中止 |
減点は5~20点ですが、状況によっては減点だけに留まらず試験が中止になることもあるので注意が必要です。また、0.4Gを超える急発進や3,000回転以上の空ぶかしなど、1回目は減点されない項目もあります。ただし、2回目には1回目の分も合わせて減点されます。
学科試験の点数の仕組み
学科試験では二者択一式の筆記問題が90問、イラスト形式の問題が5問出題されます。配点は筆記問題が1問1点、イラスト問題が1問2点です。ただし、イラスト問題は1問につき3つの解答が用意されており、すべて正解しないと2点を取れません。
筆記問題の出題基準は、次の通りです。
項目 | 内容 |
歩行者と運転者に共通の心得 |
|
自動車を運転する前の心得 |
|
自動車の運転の方法 |
|
危険な場所などでの運転 |
|
高速道路での走行 |
|
二輪車の運転の方法 |
|
交通事故・故障・災害などの時 |
|
自動車所有者・使用者・安全運転管理者・自動車運転代行業者などの心得 | 自動車所有者などの義務 |
※出典元:警察庁交通局運転免許課「学科試験の出題形式、出題範囲及び出題基準等について(通達)」
イラスト問題は、おもに危険予測に関わる内容が出題されます。
本免学科試験の問題例と対策
学科試験に一発合格するためには、しっかりと事前対策しておくことが大切です。実際に出題される問題には「ひっかけ問題」もあるため、時間内に読み解けるように準備しておきましょう。
ここからは、学科試験で過去に出題された問題と試験を受ける前にしておきたい対策などを解説します。
実際に出題された問題例
過去に出題された問題と解答は、次の通りです。
問題 | 解答 |
普通自動車免許で11人乗りの自動車を運転することができる。 | × |
自動車を後退させる時には運転手のシートベルト着用が免除される。 | 〇 |
前の車が普通自動車を追い越そうとしている時にその車を追い越すと二重追い越しになる。 | 〇 |
免許を自宅に置いたまま運転すると無免許運転になる。 | × |
踏切内での車の故障を列車の運転手に知らせる時には踏切支障報知装置で知らせ、発煙筒は火災防止のため使用してはいけない。 | × |
それでは、各問題を解説します。普通自動車免許では、11人乗りの自動車を運転できません。運転できるのは乗車定員11人未満、車両総重量3.5トン未満、最大積載量2トン未満の普通自動車です。
2008年6月の道路交通法改正により、運転席や助手席に加えて後部座席を含む全座席でのシートベルト着用が義務づけられました。しかし、後退時は後方確認が必要になるため、シートベルト着用が免除されています。
前の車が普通自動車を追い越そうとしている時に、その車を追い越すと二重追い越しになります。ただし、前の車が軽自動車や原動機付自転車の場合は二重追い越しにはなりません。
免許を自宅に置いたまま運転した場合、「無免許運転」ではなく「免許不携帯」になります。免許を不携帯のまま運転すると3,000円の反則金が課せられるため、常に携帯するように注意しましょう。
踏切内で車が故障した場合は、踏切支障報知装置で知らせる必要があります。踏切支障報知装置が設置されていない踏切では、代わりに発煙筒で知らせます。
試験対策のポイント
ここからは、学科試験対策のポイントを解説します。
間違いやすい問題を把握しておく
学科試験は、50分以内に筆記問題90問とイラスト問題5問を解く必要があります。平均すると、1問にかけられる時間は1分以内。スピード感をもって取り組まなければなりません。問題の中には、いわゆるひっかけ問題も含まれています。
急いで解くと間違える可能性もあるため、出題傾向やひっかけ問題は過去問を活用して把握しておきましょう。間違えやすいひっかけ問題例と解答は、次の通りです。
問題 | 解答 |
黄色灯火の点滅の場合、歩行者や車や路面電車はほかの交通に注意して徐行して進むことができる。 | × |
車は勾配の急な上り坂・上り坂の頂上付近・勾配の急な下り坂で追い越しが禁止されている。 | × |
「追い越し禁止」の表示がある標識がある道路では、右側部分をはみ出して追い越ししてはいけないが、はみ出さなければ追い越しても良い。 | × |
上り坂の頂上付近は徐行しなければならないが、勾配が急な上り坂は徐行しなくて良い。 | 〇 |
対面する信号が黄色灯火の時、直進・右折・左折ができる。 | × |
信号の黄色灯火の点滅は、ほかの交通に注意して進むことができるという意味があるため、徐行義務はありません。
勾配の急な上り坂は追い越しが禁止されていないため、安全を確認しながら追い越すことが可能です。
「追い越し禁止」の表示がある標識がある道路では、すべての追い越しが禁止されています。一方で「追い越し禁止」の表示がない標識では、右側部分にはみ出ださなければ追い越しできます。
勾配の急な上り坂では、徐行が義務づけられていません。そのため、周囲の安全を確認しながら走行できます。指定された交差点の場合、原動機付自転車は二段階右折が必要です。ただし、二段階右折禁止の標識がある交差点では、通常通りの右折になります。
教習所の問題を何度も解いて覚える
学科試験に一発合格するためには、教習所から提供される問題を何度も解いて覚えるのも手段のひとつです。教習所では仮免や本免の合格率を毎月把握しているため、最新の出題傾向を把握しています。
オリジナルの問題を作成している教習所も多いため、試験対策として活用しましょう。また、教習所の中には、生徒が自由に問題を解く練習ができるブースを用意しているところもあります。
また、学科試験対策用のオンライン教材を活用するというのも効率的な方法。たとえばこちらの教材は、学科試験の応用問題やひっかけ問題を動画で学習することができます。スマホやタブレットで学習できるため、忙しい人でも隙間時間を使って効率よく学科試験対策をすることが可能です。
学科試験の直前対策については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
教習所での学科教習の受け方のコツはこちらの記事で紹介しているので、気になる人はぜひチェックしてみてください。
試験を受ける際の注意事項
学科試験は、都道府県にある運転免許センターで実施されます。受付時間は8時30分~9時頃のケースが多いですが、混雑状況によっては早期に受付を終了することもあるので注意が必要です。
念のため、当日は時間に余裕をもって会場に行くようにしましょう。また、写真を持参しない場合は、合格後に会場で撮影します。免許が交付されると3年間は写真を変えられないため、身だしなみを整えておきましょう。
一発合格するためには事前対策が重要
学科試験の合格基準は、100点満点中90点以上。問題数も多く時間も限られるため、1問1問をスピード感をもって丁寧に解くことが大切です。不合格になると時間やお金もかかるため、事前対策をしっかりとして本番に備えましょう。
インターネット上には、学科試験の練習問題が数多く掲載されています。解説が記載されているものも多いため、試験対策の一環として利用してみてはいかがでしょうか。
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