フォークリフトや農耕トラクターなどの小型特殊自動車を運転するには、小型特殊免許を取得する必要があります。本記事では、小型特殊免許の取得方法や乗れる車の種類を解説します。
小型特殊免許の取得日数や取得費用などもあわせて解説するので、取得を目指している人はぜひこのまま読み進めてください。
小型特殊免許とは
普通免許や大型免許などと同様に、運転免許区分の一つです。免許を取得すれば、「小型特殊自動車」に該当する自動車の運転ができます。
なお小型特殊免許は、原動機付自転車免許以外の下記免許を取得することで自動的に付与されます。
- 普通免許
- 準中型免許
- 中型免許
- 大型免許
- 大型特殊免許
- 大型自動二輪免許
- 普通自動二輪免許
上記運転免許を所有していれば、新たに小型特殊免許を取得する必要はありません。
小型特殊免許取得で乗れる車の種類
小型特殊自動車の定義は時速15km超の速度を出せない構造で、長さ4.7メートル以下、幅1.7メートル以下、高さ2.8メートル以下です。小型特殊免許を取得していれば、これらをすべて満たした自動車を運転できます。
小型特殊免許で運転できる小型特殊自動車の種類は、次の通りです。
業界別 | 種類 |
工業向け |
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農業向け |
|
小型特殊自動車の種類は多いですが、小型特殊免許を持っていれば全て運転することが可能です。ただし、フォークリフトや除雪車などの一部の自動車は、運転技能講習を修了する必要があります。
小型特殊免許の取得条件
小型特殊免許を取得するためには、次の条件を全て満たす必要があります。
項目 | 条件 |
年齢 | 16歳以上 |
視力 | 両眼0.5以上 |
視野 | 150度以上 |
聴力 | 10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえること |
色彩識別 | 赤色・青色・黄色の識別ができること |
運動能力 |
|
片眼の視力が0.5未満の場合は、他眼が0.7以上あれば問題ありません。また、視力と聴力は、メガネやコンタクトレンズ、補聴器などの矯正器具の使用が認められています。
小型特殊免許を取得する2つの方法
小型特殊免許は学科試験を受けて取得する方法の他に、自動的に付与される原動機付自転車以外の免許を取得する方法があります。
普通免許を取得する
小型特殊免許は普通免許の下位免許に位置付けられているため、普通免許を取得すれば自動取得できます。そのため、すでに普通免許を持っている場合は、小型特殊自動車の運転が可能です。
小型特殊自動車以外も運転する場合は、普通免許や上記の運転免許を取得すれば効率的です。また、普通免許は自動車教習所の合宿でも取得できます。合宿とは一定期間宿泊施設に滞在し、学科教習と技能教習を集中的に学習する方法です。
まとまった休暇を確保する必要はありますが、教習所に通う場合よりも早く免許を取得できます。
学科試験を受ける
原動機付自転車免許以外の運転免許を持っていない場合は、運転免許試験場や運転免許センターで適性検査と学科試験を受け、合格すれば小型特殊免許を取得できます。
検査と試験を受け、運転免許を取得するまでの手順は次の通りです。
- 運転免許試験場または運転免許センターに行く
- 受付
- 適性検査を受ける
- 学科試験を受ける
- 写真撮影
- 免許証を受け取る
学科試験では、文章問題46問とイラスト問題2問の合計48問が出題されます。各問題の配点は、次の通りです。
- 文章問題:各1点
- イラスト問題:各2点
イラスト問題は1問につき3つの問いがあり、全て正解した場合のみ2点が配点されます。合格基準は50点中45点以上です。
試験の必要書類
学科試験を受ける際には、住民票や本人確認書類などの書類が必要です。必要書類は、初めて運転免許を取得する場合と他の運転免許を持っている場合で異なります。
運転免許の有無 | 必要書類 |
初めて運転免許を取得する場合 |
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他の運転免許を持っている場合 |
|
住民票は、マイナンバーが記載されていないものに限られます。本人確認書類として利用できる書類は、次の通りです。
- 健康保険証
- マイナンバーカード
- パスポート
- 在留カード
- 特別永住者証明書
- 官公庁が交付した免許証
- 社員証 など
申請用写真のサイズは、縦3センチメートル×横2.4センチメートルです。申請の6ヶ月以内に撮影し、無帽・正面・上三分身・無背景のものに限られます。学科試験を受ける会場によっては、現地で撮影できる場合もあります。
小型特殊免許の取得日数
運転免許試験場や運転免許センターで適性検査と学科試験を受ける場合、合格すれば即日免許を取得できます。
小型特殊免許の取得費用
小型特殊免許を取得する際には、受験料と交付手数料が必要です。費用の内訳は、次の通りです。
- 受験料:1,500円
- 交付手数料:2,050円
試験に不合格となった場合は、再度1,500円の受験料を支払う必要があります。なお、交付手数料は合格後、運転免許証が交付される際に支払います。
小型特殊免許取得前に確認しておきたいこと
小型特殊免許を取得する際には、いくつか注意しておきたいことがあります。マナーを守って安全に運転するためにも、運転免許の取得前に確認しておきましょう。
公道を走るには免許が必要
小型特殊自動車は道路運送車両法で規定されているため、公道を走行することが可能です。ただし、公道を走行するためには小型特殊自動車免許が必要です。
また、次の条件を一つでも超える自動車は、小型特殊自動車ではなく新小型特殊自動車または大型特殊自動車に分類されます。
- 時速15㎞超の速度を出せない構造
- 長さ4.7メートル以下
- 幅1.7メートル以下
- 高さ2.8メートル以下
新小型特殊自動車と大型特殊自動車を運転する際には、大型特殊自動車免許が必要です。これらの自動車は、小型特殊免許を持っているだけでは運転できないので注意しましょう。
緑ナンバーの取得が必要
小型特殊自動車を所有する場合、公道を走行するしないに関わらず、緑ナンバープレートを取得する必要があります。ナンバープレートが必要な理由は、小型特殊自動車が軽自動車税の課税対象なので、課税標識として取得が義務づけられているからです。
ナンバープレートの交付手続きは、次の書類を準備して市町村役場の税務課で行います。
- 印鑑
- 販売証明書または譲渡証明書
- 本人確認書類
販売証明書と譲渡証明書は、販売店または譲渡者の押印と車台番号、車名、型式が確認できるものを準備します。交付手続きは、小型特殊自動車を所有してから15日以内に申請しなければならないため、忘れないように注意しましょう。
軽自動車税がかかる
小型特殊自動車は、軽自動車税の課税対象です。公道を走行するしないに関わらず、毎年4月1日時点の小型特殊自動車の所有者は、軽自動車税の納税が必要です。税額は、車種によって異なります。
小型特殊自動車の種類 | 規格 | 税額 |
農耕作業車 |
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2,400円/年 |
その他 |
|
5,900円/年 |
自賠責保険の加入が必要
小型特殊自動車は、普通自動車や普通二輪車のように車検を受ける必要はありません。しかし、農耕作業者以外の車種で公道を走行する場合、自賠責保険への加入が義務づけられています。公道以外は義務ではありませんが、誤って走行する可能性があるため、加入しておいたほうが良いでしょう。保険料は、保険期間や地域によって異なります。
沖縄県を除く離島以外の地域の保険料は、次の通りです。
保険期間 | 保険料 |
1ヶ月 | 5,400円 |
2ヶ月 | 5,560円 |
6ヶ月 | 6,220円 |
12ヶ月 | 7,200円 |
18ヶ月 | 8,170円 |
24ヶ月 | 9,130円 |
正しい知識を取り入れて小型特殊免許を取得しよう
小型特殊免許は、フォークリフトや農耕トラクターなどの道路運送車両法で規定された自動車の運転が可能な免許です。すでに普通免許や普通二輪免許を持っている場合、下位免許に該当する小型特殊免許は自動取得できます。
自動取得できる免許を持っていない場合は、運転免許試験場または運転免許センターで学科試験を受け、合格すると取得できます。学科試験の問題例はインターネット上に数多くアップされているため、しっかりと準備をして一発合格を目指しましょう。