普通二輪免許の取得を検討している人の中には、「どのような取得方法があるのか」「取得費用はどのくらいかかるのか」と気になる人もいるのではないでしょうか。
普通二輪免許を取得する際には、持っている免許によって学科教習と技能教習の時限数が変動します。たとえば普通免許を持っていると、教習の一部免除されるため、通常よりも早く取得でき、取得費用をおさえることが可能です。
本記事では、普通二輪免許の取得方法や取得費用などをわかりやすく解説します。
普通免許を持っている場合のおすすめの取得方法も解説するので、普通二輪免許を取得する際に役立ててください。
普通二輪免許を取得する方法
バイクの運転に対応した免許には、原動機付自転車免許・小型限定二輪免許・普通二輪免許・大型二輪免許の4種類があります。普通二輪免許では、排気量400cc以下のバイクの運転が可能です。
普通二輪免許の取得方法には教習所への通学、合宿免許への参加、一発試験の受験と3通りあります。それぞれ取得までの流れが異なるため、自分に適した方法を見つけましょう。
教習所に通う
警察庁交通局運転免許課の「運転免許統計令和3年版」によると、令和3年中に普通二輪免許の試験に合格した全23万1,766人のうち、指定教習所の卒業者は20万4,924人でした。
3通りある普通二輪免許の取得方法のうち、スタンダードなのは指定教習所への通学です。
教習所には、指定教習所と届出教習所の2種類があります。指定教習所は道路交通法で定められた施設やカリキュラムに沿って教習が実施されるため、本免技能試験が免除されるといったメリットがあります。
指定教習所では、交通法規や安全運転のマナーなどを学ぶ学科教習と実際にバイクを運転する技能教習を受けます。卒業後は運転免許試験場で適性試験と本免学科試験を受け、合格すれば運転免許証が交付されるという流れです。
合宿免許に参加する
普通二輪免許は、合宿免許に対応した指定教習所を利用して取得する方法もあります。合宿免許とは一定期間宿泊施設に泊まり込み、免許取得に必要な学科教習や技能教習を集中的に受ける方法です。
合宿免許には入校不可地域が設定されているケースもあり、そのような場合は居住地と離れた場所を選ぶ必要があります。自然豊かな町や観光地などの教習所も多く、教習の空き時間に旅行気分を味わうことも可能です。
無料の観光ツアーやグルメチケットなどの特典を用意している教習所もあるため、これらを基準に選ぶのも一つの手です。合宿免許で教習所を卒業した後は、運転免許試験場で本免学科試験を受け、合格すれば運転免許証を受け取れます。
一発試験を受ける
普通二輪免許は、通学や合宿で教習所を利用せずに取得する一発試験と呼ばれる方法もあります。一発試験とは教習所で学科教習や技能教習を受けず、運転免許試験場で直接試験を受ける方法です。
教習所に通学しないため、本免技能試験は免除されません。運転免許試験場では、適性検査・本免学科試験・本免技能試験を受ける必要があります。一発試験は教習自体を受けないため、初回の受験で合格できれば最短1日で取得可能です。
ただし、技能教習を受けずに本免技能試験に臨むため、難易度は高いのが現状です。本免技能試験に不安がある場合は、教習所や運転免許試験場の貸コースの利用も検討してみましょう。指導員による教習は受けられませんが、試験を想定したコースで練習できます。
普通免許ありは学科免除になる教習所がおすすめ
普通二輪免許は、他の免許を持っていないまたは原動機付自転車免許のみを持っている状態でも、受験資格を満たしていれば取得できます。
しかし、すでに普通免許を持っている場合は、一部の学科教習や技能教習が免除されるため、スピーディに取得を目指すことが可能です。
持っている免許の種類 | 第一段階学科教習 | 第一段階技能教習 | 第二段階学科教習 | 第二段階技能教習 |
なし | 10時限 | 9時限 | 16時限 | 10時限 |
原動機付自転車免許 | ||||
普通免許 | 免除 | 9時限 | 1時限 | 8時限 |
普通免許を持っている場合、第一段階のすべての学科教習と第二段階の学科教習1時限、第二段階の技能教習2時限が免除されます。さらに、本免学科試験も免除されるため、運転免許試験場では適性試験の受験だけで済みます。
普通二輪免許の取得費用
普通二輪免許の取得費用は、取得方法によって異なります。
取得方法 | 教習所の取得費用の相場 | 運転免許試験場での取得費用 |
教習所への通学 | 20万円程度 |
|
合宿免許 | 15万円程度 | |
一発試験 | なし |
|
教習所に通学する場合は20万円程度、合宿免許の場合は15万円程度が相場です。さらに、運転試験場では受験料と交付手数料の合計4,650円が必要です。一方で一発試験の場合は、運転免許試験場での受験料や試験車使用料などの合計22,300円で済みます。
普通免許を取得している場合
普通免許を持っていれば一部の学科教習や技能教習が免除されるため、通常よりも取得費用が安くなります。
取得方法 | 教習所の取得費用の相場 | 運転免許試験場での取得費用 |
教習所への通学 | 90,000円前後 |
|
合宿免許 | 80,000円前後 |
取得費用の相場は教習所への通学が90,000円前後、合宿免許が80,000円前後です。免許なしまたは原動機付自転車免許のみの場合に比べると、取得費用を70,000円~11万円程度おさえられます。
合宿免許の取得費用には、宿泊費や食費が含まれています。教習費だけを見ると、合宿免許は教習所への通学よりもお得になるのがほとんどです。
普通二輪免許の取得日数
普通二輪免許の取得日数は、取得方法によって異なります。
取得方法 | 取得日数 |
教習所への通学 | 1ヶ月程度 |
合宿免許 | 最短8泊9日 |
一発試験 | 最短1日 |
免許なしまたは原動機付自転車免許のみの場合、定められているすべての教習を受ける必要があるため、取得までに1ヶ月程度を要します。教習所の混雑状況によっては希望する日に予約が取れず、卒業までに1ヶ月以上かかる可能性もあります。
合宿免許は決められた時間割通りに教習を受けられるため、最短8泊9日での取得も可能です。しかし、まとまった休みを取る必要があるため、社会人の場合は参加が難しいケースもあります。
一発試験は運転免許試験場で直接試験を受けるため、その日に合格すれば最短1日で取得できます。運転免許試験場によっては毎日試験が実施されているとは限らず、不合格になった場合は取得までに日数がかかる可能性もあります。
普通免許を取得している場合
普通二輪免許は、普通免許を持っていれば一部の学科教習や技能教習が免除されます。そのため、取得方法によっては、免許なしまたは原動機付自転車免許を持っている場合に比べて取得日数が短くなります。
取得方法 | 取得日数 |
教習所への通学 | 9~10日程度 |
合宿免許 | 最短8泊9日 |
教習所に通学する場合、普通免許の有無で取得日数が20日程度変動します。一方で合宿免許は、普通免許の有無で取得日数に変動はありません。そのため、普通免許を持っており取得までのスピードを重視する人には、教習所への通学がおすすめです。
普通二輪免許を取得する流れ
普通二輪免許の教習では、第一段階と第二段階にわけて教習がおこなわれます。第一段階では基本的な運転操作、第二段階では状況に応じた走行技能や判断の仕方を身につける流れです。
1.第一段階
第一段階の教習では、運転姿勢や安全走行などのバイクの基本的な運転操作を身につけます。学科教習と技能教習の時限数は、持っている免許の種類によって異なります。
持っている免許の種類 | 学科教習時限数 | 技能教習時限数 |
なし | 10時限 | 9時限 |
原動機付自転車免許 | ||
普通免許 | 免除 | 9時限 |
免許なしまたは原動機付自転車免許を持っている場合は、10時限の学科教習と9時限の技能教習の受講が必要です。普通免許を持っている場合は学科教習が免除され、9時限の技能教習のみの受講になります。
教習内容は次の通りです。
- 車の取り扱い
- 自動車の機構と運転装置の取り扱い
- 運転姿勢
- ブレーキ操作の方法
- 発進および停止の方法
- 変速操作の方法
- 安全走行
- 円滑な発進・加速
- 速度の調節
- 直線でのバランスの取り方
- カーブでのバランスの取り方
- 車両特性を踏まえた運転
- 坂道の通過
- 坂道における停止および発進
- AT車の運転
- みきわめ
第一段階の最後には、「みきわめ」が実施されます。みきわめでは、これまでに技能教習で身につけた運転技量を確認する工程です。指導員に運転技量に問題ないと判断されれば、次の第二段階に進むことが可能です。
なお、道路交通法施行規則では、1日で受講できる技能教習の上限が定められています。第一段階では上限が2時限なので、第二段階に進むまでには最短でも5日間かかります。
2.第二段階
第二段階ではカーブの安全走行や危険を予測した運転など、状況に応じた走行技能や判断の仕方を身につけます。学科教習と技能教習の時限数は第一段階と同様に、持っている免許の種類によって異なります。
持っている免許の種類 | 学科教習時限数 | 技能教習時限数 |
なし | 16時限 | 10時限 |
原動機付自転車免許 | ||
普通免許 | 1時限 | 8時限 |
免許なしまたは原動機付自転車免許を持っている場合は、16時限の学科教習と10時限の技能教習の受講が必要です。普通免許を持っている場合は、1時限の学科教習と8時限の技能教習を受講します。
内容は次の通りです。
- 路上運転にあたっての注意と法規走行
- 通行区分など
- 走行位置と進路変更
- 交差点の通過(直進・右折・左折)
- 見通しの悪い交差点の通行など
- 安全な速度と車間距離
- カーブの安全走行
- カーブの体感走行
- 急制動
- 回避
- 交差点でのケース・スタディ
- 交通の状況および道路環境に応じた運転
- 危険を予測した運転
- 高度なバランス走行
- みきわめ
第二段階の最後には「みきわめ」が実施され、問題なければ卒業検定に進むことが可能です。
また、第一段階と同様に、第二段階でも1日で受講できる技能教習の上限が定められています。第二段階の上限は3時限です。ただし、3時限を連続して受講することが禁止されているため、卒業検定に進むまでには最短でも3日間かかります。
普通免許があると普通二輪免許は費用をおさえて取得できる
普通免許を取得する方法には、教習所への通学と合宿免許への参加、一発試験の3通りがあります。一発試験は難易度が高いため、多くの人は教習所への通学または合宿免許を選んでいるのが現状です。
取得費用の相場は15万円~20万円程度です。ただし、普通免許を持っている場合は、一部の学科教習や技能教習が免除されるため、80,000円~90,000円程度に取得費用をおさえられます。
スケジュールや予算を考慮し、自分に適した方法で普通二輪免許を取得しましょう。