大型バイクに乗りたいと考える場合、必要になるのは大型二輪免許ですが、この免許を取るために必要な前提条件はどのようなものなのでしょうか。
本記事では、大型二輪免許の取得条件や取得までの道のりについて解説していきます。他の免許やバイク運転の経験が無くても取れるのか?教習所に通ったほうが良いのか?どれくらいの費用がかかるかなども、ケースごとに紹介していきます。
目次
大型二輪免許とは
まずは、大型二輪免許の基本的な情報について把握していきましょう。
大型二輪免許は、その正式名称を大型自動二輪車免許と言います。許可の対象となる車両は大型二輪自動車を含むほとんどのバイクです。この免許を持っていることで中型や原付も含めたバイクを選ぶことができるようになります。
大型自動二輪車は道路交通法で総排気量400ccを超えるもの、あるいはモーターの定格出力が20kWを超えるバイクと定められています。それ以下の規模のバイクには125cc超400cc以下の普通自動二輪車、50cc以下の原付などがあります。
大型二輪免許の種類
一口に大型二輪免許といっても、普通自動車と同じようにAT限定の免許、限定無しの免許の二種類が存在しています。
AT限定免許では、手動式クラッチの操作がないオートマチック・トランスミッション(AT)式のバイクに乗れます。選べるバイクの排気量に制限はないものの、マニュアル操作の必要なバイクに乗ることはできません。
一方で、限定無し免許ではクラッチの主導操作が必要なMT(マニュアル・トランスミッション)式のバイクを含めて乗ることができるようになります。排気量・操作方式の制限なくバイクを選べるようになるため、選択肢は大いに広がると言えるでしょう。
海外メーカーの大型バイクは限定なしでなければ乗れないものも多いため、自分が乗りたいと考えているバイクがATかMTかを把握しておくことも、取得する免許を選ぶうえでは大切です。
AT限定で大型二輪免許を取得した場合でも、あとから限定解除を受けることは可能です。「AT車にしか乗るつもりはなかった」「あとからMT車に乗りたくなった」という場合にはAT限定解除を利用しましょう。
基本的な受験資格・取得条件
大型自動二輪免許を受験するためには、次の条件を満たしている必要があります。
- 年齢:18歳以上
- 視力:両眼で0.7以上
- 色覚:赤、青、黄色の見分け
- 聴力:補聴器使用で適性検査に通過
- 身体機能:運転に支障のない状態であること
こうした項目は適性検査時に確認されることになり、満たせない場合は受験できません。
また、過去に何らかの自動車運転において、免許取消処分を受けている場合も試験を受けられないことがあります。受験の1年前以内に取消処分者講習を受講したうえで、欠格期間が過ぎてからでないと試験を受けられないため、注意しましょう。
【普通二輪免許ありの場合】大型二輪免許を取得する方法
普通免許、普通二輪を持つ人が大型二輪免許を取る場合、次のような方法が考えられます。
- 一発試験に合格する(学科試験免除)
- 教習所に通う
- 合宿免許で取る
それぞれの方法は、どのような流れで進んでいくのかを順番に見ていきましょう。
一発試験に合格する
教習所に通わず、運転免許試験場で一発試験を受ける場合は、適性検査と技能試験に合格し、取得時講習を受けることで大型二輪免許を取得できます。
学科試験は、次の条件を満たしている人は免除となります。
- 原付免許や小型特殊免許を除く第一種免許を持っている人
- 原付免許や小型特殊免許を除く第二種免許を持っている人
- 普通二輪免許を持っている人
この場合は適正検査、技能試験、取得時講習のみが求められるため、まったく免許を持っていない場合と比較してもスムーズに免許を取得できます。
大型二輪免許の免許取得には、必ずしも普通二輪免許を持っている必要はないことがわかりますが、二輪車特有の運転の仕方など、実技的な技術を身に着けることも忘れないでおきましょう。
教習所に通う
大型二輪自動車を扱っている教習所に入校した場合、教習のあとに試験を受け、それに合格すれば免許を獲得できます。教習所に通うか、合宿免許を利用するかはスケジュールや予算に応じて選ぶことをおすすめします。
大型二輪免許はこれまで免許を持ったことがない人でも取得できますが、まずは普通二輪や普通免許の取得から勧められる場合もあります。大型二輪免許の取得は難易度が高いため、取りやすい免許から徐々にステップアップしていくことも選択肢の一つです。
大型二輪コース
すでに普通二輪を持っている人は、教習所の大型二輪コースを利用しましょう。普通免許などから大型二輪免許に挑戦することも可能ですが、不安なら普通二輪から取ることをおすすめします。
教習所の大型二輪コースでは、受講者の持つ免許に応じて学習内容や費用が異なるのがほとんどです。傾向としては、大型二輪バイクに近い免許を持つほどボリュームが下がると見て良いでしょう。
限定なしの普通二輪免許を持っている人の場合、学科は免除となり、12時間の技能教習だけを受けることになります。期間も最短で6日と短く、費用の相場も約10万円ほどです。
普通免許を持っている人も、学科教習の大部分が免除され、第二教程の1時間分だけを受けることになります。31時限の技能教習は必要となるため、目安としては最短1~2ヶ月程度で免許が取れるでしょう。また、費用の相場は18万円からとなっています。
合宿免許へ参加する
短期間かつ安価に大型二輪免許を取りたい場合は、合宿免許に参加することも考えましょう。泊まり込みや連日の教習など、まとまった時間は必要となりますが、教習所に通学した場合よりもスムーズに免許を取ることができます。
教習内容は教習所に通学する場合と同じですが、教習所によっては「普通二輪免許を持っている人のみ受け付け可能」など条件を設けている場合もあるため、合宿所探しの段階で注意しておきましょう。
期間と費用の相場を免許の種類ごとに例示すると、次のとおりです。
- 普通二輪MT所持:最短6日 約9~14万円
- 普通免許所持 :最短14日 約20万円~
食事や宿泊施設のグレードや、観光地に近いかどうかなどでも値段は変わります。免許の取得と同時に休養や観光を取りたい場合、安く免許を取りたい場合など、自分の希望にあわせて合宿先を選びましょう。
【普通二輪免許なしの場合】大型二輪免許を取得する方法
大型二輪免許は、年齢と適性検査にある身体条件を満たせば受験可能です。2種類の取得方法を解説します。
教習所に通う
普通自動車や普通二輪バイクなど、運転の経験がない状態で教習所に「大型二輪免許を取りたい」と申し出た場合、ほとんどは普通二輪免許からの取得をすすめられます。そもそも受講の条件に「普通二輪免許」を求める教習所もあるほどです。
実際、大型二輪バイクの運転はとても難しいものです。エンジンの出力が大きいことはもちろん、車体が大きいため転倒時の対処が難しく、エンジンをかけずに車体を押すなどの基本的な動作をするだけでも疲れてしまいます。
多くの教習所は、そうした大型二輪特有の問題に対処しながら、バイク全般に共通するテクニックを身に着けていくのは、初心者には難しいと判断します。私有地などで運転経験がある場合でもなければ、普通免許から取得したほうが安全で確実と言えるでしょう。
しかし、普通二輪免許は大型二輪免許の法的な必須要件ではありません。長い目で見たときの安全性を考慮して、いきなり大型二輪免許を取ることが賢明な判断かどうかを、しっかりと考えましょう。
普通二輪コースからスタートする
普通免許はあるもののバイクが未経験の人は、普通二輪コースからスタートすると基礎知識・技術が身に付きやすく、大型二輪免許の取得もスムーズになります。普通免許がない場合でも、いきなり大型二輪免許に挑戦するよりは安全な選択肢となるでしょう。
普通免許を持っている人が普通二輪コースを受講すると、学科教習の大部分が免除され、第二教程の1時間分のみになります。技能教習は17時限で、最短1~2ヶ月程度で免許が取れる目安となっています。
費用面では、普通二輪MTで約9万円からが相場となっています。普通二輪免許を持っていれば、大型二輪免許に挑戦する際の費用が割り引かれます。
普通二輪コースから大型二輪コースへ通う場合は、いきなり大型二輪免許に挑戦する場合よりもお金はかかってしまいますが、より確実な方法と言えます。バイク運転の経験がない場合はなおさらです。
いきなり一発試験を受ける
一種の極論ではありますが、いきなり一発試験を受けて合格すれば費用を抑えて、速く大型二輪免許を手に入れることができます。一発試験の流れは次の通りです。
- 学科試験
- 適性試験
- 技能試験
- 合格後、取得時講習
技能試験は予約制のため、あらかじめ受験日を選ぶ必要があります。
受験の手数料は6,100円(内訳は受験料2,600円、試験車使用料1,450円、免許証交付料2,050円)となっています。加えて、取得時講習受講料として16,650円が必要です。一回で試験に通過できれば、他の方法よりも遥かに安価に免許を得られます。
ですが、確実な技術が伴っていなければ、合格することは極めて困難といえるでしょう。何度も受験をしていれば、教習所に通っていた場合よりも費用がかさんでしまう可能性もあります。
大型二輪免許取得で教習所に通うメリット
大型二輪の免許取得は難易度が高いため、一発試験では合格が難しいといわれています。教習所を利用し、実力を身に着けながら合格を狙うことが免許取得の近道になるでしょう。
大型二輪免許取得で教習所に通うメリットは次のとおりです。
- カリキュラムに沿って正しい知識を習得できる
- 本免許試験の技能試験が免除されるため合格率は高い
それぞれのメリットの詳細を順番に開設していきます。
カリキュラムに沿って正しい知識を習得できる
運転の技術や知識に不安があっても、教習所であれば学科・技能ともにカリキュラムに沿った適切な指導を受けることができます。車両の運転は法律に基づいて定められている行為であるため、正しい知識を身に着けることは合格と安全の両面からとても大切です。
また教習コースでたくさん練習ができ、卒業検定試験も慣れた教習コースで受けられます。同じコースを繰り返しできれば、落ち着いて技術を身に着け、本番でも力を発揮しやすくなります。一発試験では慣れないコースを使用するため、これは大きな差です。
正しい知識と技術を身に着けるためにも、スムーズな合格のためにも教習所はとても便利なサービスと言えます。特に、運転そのものやバイク未経験の人は教習所に通って指導を受けるのがおすすめといえるでしょう。
本免許試験の技能試験が免除されるため合格率は高い
公安委員会が認定する教習所で卒業検定試験に合格すれば、本免許試験の技能試験も免除されます。このことは免許の合格率にも大きな影響を与えており、一発試験と比較するとその効果は一目瞭然です。
全体の合格率 | 指定自動車教習所の卒業者合格率 | 一発試験の合格率 |
約86% | 約97% | 約10% |
大型二輪免許(限定なし)の受験者全体の合格率は、令和3年度の警察庁の運転免許統計では、受験者113,303人のうち97,580人となっています。合格者の約9割は指定自動車教習所の卒業者で、その数は88,815人です。
また、大型二輪の教習所卒業生は91,387人です。このうち、全員試験を受けたと仮定すれば88815人÷91387人=教習生の合格率は97%となります。一発試験の合格率が約10~20%であることを考えると、かなり高い数値であると言えるでしょう。
出典:運転免許統計令和3年版
【教習所と合宿を比較】大型二輪免許の取得期間・費用相場
教習所や合宿を利用すれば免許を取りやすくなりますが、やはりかかる期間と費用は気になるものです。
免許なしの人、原付免許のみの人の教習時間は学科26時限、技能36時限が必要です。通学・合宿ともにこれは同じですが、期間と費用は異なります。
教習所と合宿、それぞれで大型二輪免許を取る場合の期間や費用の相場についても把握しておきましょう。
教習所へ通う場合の期間と費用
教習所に入校し、受講する日にあわせて通学する場合の期間と費用の相場は、次のとおりです
- 期間:約2~3ヶ月
- 費用:約28万円~32万円
ただし、順調に卒業できた場合で、試験につまづいてしまったり、通学する時間が取れなかったりすればより多くの期間と費用が必要になります。また、教習所によって異なる部分は大きい(特に費用)ことにも注意しましょう。
教習所に通うかたちでの免許取得は、合宿免許よりもスケジュールを立てやすい点にメリットがあります。仕事や学校などの都合にあわせて免許取得のプロセスを進めたい、という人には教習所に通学することをおすすめします。
合宿免許の場合の期間と費用
合宿免許は連日の集中受講で、短期間での免許取得が目指せます。
合宿免許の期間と費用の相場は次のとおりです。
- 期間:約16日(免許なしの場合)
- 費用:約25万円~37万円
費用は通学の場合よりも高くなる場合がありますが、これは合宿先の立地や季節によって異なります。観光地を兼ねた合宿先はその質のぶんだけ値段がかかり、夏休みや春休みなどの免許取得シーズンには料金が高くなる傾向になると覚えましょう。
合宿免許は、まとまった時間で集中的に学びたい人におすすめの方法です。仲間と同じ目標を目指して学ぶことができるのも、合宿免許ならではの魅力と言えるでしょう。
バイク未経験者が知っておきたい大型二輪の操作感
大型二輪免許は条件さえ満たしていれば誰でも受験できます。しかし、それはあくまで法律上であり、実際に車やバイクの運転経験がない人がいきなり免許を取得するのは困難であるといえるでしょう。
大型二輪免許の一発試験の合格率は平均10~20%、AT限定で10~30%とされています。教習所に通う場合でも重くパワーのあるバイクを、慣れない操作で動かすことになるため、困難な道であるといえるでしょう。
大型二輪はなぜ運転が難しいのか?その理由は大きく分けて2点あります。
- 普通二輪車(小型~中型バイク)に比べて重い
- クラッチ操作の間隔を掴むのが大変
それぞれの詳細について解説します。
普通二輪車(小型~中型バイク)に比べて重い
大型二輪車は大きく重いため、車体を押して歩いたり、バイクを起こすなどの取り回しがとても困難です。特に教習所の教習用バイクは大きく重いものを採用していることが多く、いきなり大型二輪に挑む場合は困難を強いられることになるでしょう。
普通二輪も大型二輪も操作の基本は同じだから問題がないはずだ、と考えても、実際に触れてみるとそうではないかもしれません。バイクの重さに気を取られて、バイク全般の扱いの基礎や、走り方を習得するまでに時間がかかったり、挫折することもありえます。
クラッチ操作の間隔を掴むのが大変
バイクに乗ったことがない人は、クラッチ操作に慣れるのに時間がかかりやすい傾向にあります。
また、このクラッチ操作を覚えるうえでも、先述の重さが阻害の要因となる可能性があります。クラッチの仕組みや操作方法を落ち着いて覚えるためにも、まずはより簡単な車両の免許から挑戦するのが良いでしょう。
大型二輪免許の一発試験は難しい!不安な人は教習所へ通うのが安心
大型二輪免許の取得は難易度が高く、特に一発試験の突破率は低いため、よほど技術力に自信があり、私有地などで走行経験がある人でもなければおすすめはできません。また、普通二輪の運転経験がある人でも、不安があれば教習所へ通うことをおすすめします。
まずは限定無しの普通二輪免許を取り、段階的に大型二輪免許へ挑戦するのも一つの方法です。普通自動車しか経験がない人も、バイクならではの感覚を掴めるでしょう。
技術や知識に不安がある人はまずは教習所を利用し、大型二輪免許取得への道を開拓しましょう。
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