8トン限定中型免許を持っている人は、限定解除の試験を受けて合格すれば、中型免許を取得できます。中型免許を取得すれば乗れる自動車の種類が増えるため、限定解除を検討している人も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、8トン限定中型免許を限定解除するメリットや試験を受ける際に発生する費用などを解説します。教習を受ける条件もあわせて解説するので、限定解除を検討している人はぜひ参考にしてください。
目次
中型免許の限定解除とは
中型免許の限定解除とは、8トン限定中型免許で運転できる中型車の条件を解除し、すべての中型車を運転できる免許を取得することです。
8トン限定中型免許ができた背景には法改正、免許新設があります。
【2007年6月2日まで】
普通免許 |
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大型免許 |
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【2007年6月2日以降】
普通免許 |
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中型免許 | 【8トン限定※1】
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大型免許 |
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※1:2007年6月2日までに普通免許を取得した場合、2007年6月2日の改正後は「8トン限定中型免許」自動的に書き換えられる
【2017年3月12日以降】
普通免許 |
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準中型免許 |
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中型免許 |
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大型免許 |
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道路交通法の改正によって中型免許が新設されたことで、2007年6月2日までに普通免許を取得していた人は、2007年6月2日以降「8トン限定中型免許」に切り替えられることになりました。
ただし名称は変わっても、運転できる車の車両総重量や最大積載量は変わりません。8トン限定中型免許を所有している人が、現行の中型免許を取得するには限定解除が必要です。
中型免許に限定解除するメリット
中型免許に限定解除すると、運転できる自動車が増えるため、仕事の幅が広がります。また、より多くの荷物を載せられるため、運搬効率のアップが期待できます。
運搬効率が上がる
2007年3月11日までに普通免許を取得した人は、改正後も車両総重量5トン以上8トン未満、最大積載量3トン以上5トン未満のいわゆる「8トン限定」の中型自動車の運転が可能です。限定解除すると最大積載量が6.5トン未満までに上がるため、一度に載せられる荷物の量が増えます。
引越しやイベントの際にも、レンタカーを借りれば自分たちで荷物を運べるので便利です。自分たちで荷物を運べると業者への依頼が不要なので、費用の節約にもつながります。
大人数を乗車して移動できる
2007年3月11日までに取得した普通免許では、運転できる自動車が乗車定員11人未満に限られていました。限定解除すると、乗車定員30人未満の自動車の運転ができるようになります。マイクロバスの運転ができるため、同時により多くの人を乗せての移動も可能です。
また、ホテルやデイサービスの送迎では、マイクロバスが使用されるケースも少なくありません。中型免許を取得すると消防車や救急車、ゴミ収集車の運転もできます。運転できる自動車の種類が増えると、仕事の幅が広がるため、転職の際に有利になる可能性があります。
中型免許を限定解除する際に発生する費用相場
8トン限定の中型免許を限定解除するには教習を受け、運転免許センターまたは運転免許試験場での試験に合格する必要があります。教習や試験には費用がかかるため、どのくらい必要かを事前に確認しておきましょう。
教習所・合宿免許の取得費用
教習の取得費用は、教習所に通学する場合と合宿免許を利用する場合で異なります。教習所に通学する場合の取得費用は99,885円程度、合宿免許を利用する場合は13万203円程度が相場です。
教習所への通学と合宿免許は、どちらも教習内容や時限数は同じです。しかし、合宿免許は宿泊費や食費などが必要なので、教習所への通学よりも取得費用が高い傾向にあります。取得費用はあくまでも目安で、教習所や時期などによって異なります。取得費用をおさえたい場合は複数の教習所を比較し、料金が安いところを選ぶようにしましょう。
この他には、運転免許試験場で一発試験を受ける方法もあります。一発試験とは教習所や合宿免許での教習を受けず、飛び込みで試験を受けることです。教習を一切受けないため、取得費用をおさえられます。
免許センター・試験場での交付手数料
教習所や合宿免許で教習が修了した後は、運転免許センターで試験を受けます。試験を受ける際には、申請手数料として1,400円が発生します。試験の手続きでは、運転免許証と技能審査合格証書が必要です。
技能審査合格証書とは、限定解除する審査に合格したことを証明する書類です。合格証書には3ヶ月の有効期限があり、期限が過ぎると無効になります。そのため、合格証書を受け取った後は、早めに試験を受けるようにしましょう。
一発試験の場合は運転免許試験場で技能試験を受ける必要があるため、申請手数料1,400円に加え、試験車使用料1,450円が発生します。
中型免許の限定解除に必要な時限数
中型免許の限定解除に必要な時限数はMTが5時限、AT限定は8時限です。1時限は50分が目安です。限定解除の場合、学科教習はなく、技能教習のみが実施されます。おもな教習内容は、次の通りです。
- 指定速度による走行
- 路端停止
- S字とL字クランク
- 踏切の通過
- 縦列駐車
- バック駐車
- 隘路侵入
隘路侵入は右左折で指定された2本のライン内に自動車を停止させ、幅6メートルの侵入路からはみ出さず進入するというものです。4回切り返した場合、審査が中止になるので注意しましょう。
すべての教習は、1週間程度で修了するケースがほとんどです。教習の修了後は、技能審査を受ける必要があります。技能審査に合格すると、技能審査合格証書が交付されます。
中型免許限定解除の教習を受ける条件
限定解除の教習は、2007年3月11日までに普通免許を取得したすべての人が受けられるわけではありません。年齢や運転免許の保有期間、視力などの条件があるため、事前に確認しておきましょう。
年齢20歳以上
普通免許は、18歳から取得可能です。一方で中型免許の取得条件は、20歳以上です。法改正前に普通免許を取得している人は、年齢条件がネックになることはないでしょう。ただし、他の条件をすべて満たす必要があるため、年齢以外の条件も確認することが大切です。
普通免許保有期間、通算2年以上
中型免許を限定解除する教習は、普通免許の保有期間が通算で2年以上なければ受けられません。普通免許を取得後に免許停止期間がある場合は、その期間は含まれないので注意しましょう。
※出典元:警視庁「適性試験の合格基準」
中型免許限定解除の教習で必要な書類・持ちもの
中型免許を限定解除する教習を受ける際には、次のものを忘れないように持参しましょう。
- 運転免許証
- 写真
- 認印
- メガネまたはコンタクトレンズ
写真のサイズは、縦3センチメートル×横2.4センチメートルです。写真は、無帽・正面・上三分身・無背景で撮影されたものだけが有効です。入校する際には視力検査が実施されるため、メガネやコンタクトレンズを使用している場合は持参しましょう。
また、運転免許証に本籍の記載がないIC免許証の場合は、暗証番号または登録カード、本籍が記載された住民票のいずれかが必要です。
中型免許限定解除により運転できる車両の種類と仕事の幅を広げよう
2007年3月11日までに普通免許を取得している人は、限定解除すると運転できる自動車の車両総重量と最大積載量が増えます。教習所に通学する場合でも5~9時限の教習で済むため、1週間程度での取得が可能です。
運転できる自動車が増えるため、活躍できる業界の幅が広がり、転職の際に有利に働く可能性もあります。限定解除すると一部の技能教習の時限数が免除され、大型免許の取得にもつなげやすくなるため、将来的なことも見据えて今のうちに限定解除しておきましょう。