自動車を運転するドライバーにとって、運転免許証は必須です。失効してしまうと生活や仕事に支障が出てしまいかねません。
運転免許証には、そのドライバーがいつからいつまで自動車を運転して良いかどうかを定めた有効期限が定められているため、定期的な更新が求められます。しかしブルー免許やゴールド免許などの色、種類によって有効期限が異なるため、自分の運転免許証がいつまで使えるのかは個人で把握すべき内容です。
この記事では、運転免許証の有効期限と更新について詳しく解説していきます。万が一更新をせず期間外になってしまったケースの対処法もあわせて紹介していくため、「自分の免許更新はどうなっているのだろう?」「更新を忘れてしまっているかも?」と疑問をお持ちの方は是非ご覧ください。
運転免許証の色と有効期限
運転免許証の有効期限を示した文字列(令和〇〇年〇〇月〇〇日まで有効)は、経歴や事故歴に応じてグリーン、ブルー、ゴールドの3種類の色で装飾されています。色に応じてドライバーの持っている免許をグリーン免許、ブルー免許、ゴールド免許と表現します。
これらの3色は運転免許証の更新間隔にも関連することをご存知でしょうか。たとえば、ゴールド免許は優秀なドライバーに与えられるもののため、他よりも長い5年の有効期限が設定されています。
一方、グリーン免許は初心者ドライバーであるとされるため、3年に設定されています。ブルー免許は同じ色でもさまざまなので注意しましょう。
また、色や種類に加えて、高齢者のドライバーに該当する方も特別の期限が定められています。それぞれの色や有効期限について見ていきましょう。
グリーン免許の場合は3年
有効期限を示す文字列の帯が緑色のものをグリーン免許といいます。グリーン免許は運転免許の新規取得者を示すもので、はじめて運転免許を受けてからまだ更新をおこなっていない人が該当します。
グリーン免許の有効期限は3年です。最初の交付から3年後に更新をおこない、ブルー免許へと移行します。グリーン免許の該当者は運転の初心者ということもあり、運転免許の更新時には普通運転者の2倍である2時間の講習を受けることになります。
ブルー免許は場合によって異なる
有効期限の文字列の帯が青色の場合、ブルー免許として扱われます。ブルー免許はグリーン免許から変わったばかりの初回更新者、一般運転者、違反運転者の三者が対象となるため、ブルー免許であることだけでは期限を判別できません。
ブルー免許は複数のドライバーに該当しているため、それぞれの詳細について把握しておきましょう。
初回更新者の有効期限は3年
グリーン免許から更新したばかりのブルー免許を持つドライバーは初回更新者として扱われます。初回更新者は免許を受けている期限が5年未満で、後述の違反運転者に該当しないドライバーが対象となります。
初回更新者のブルー免許の有効期限は3年です。その3年間を無事故無違反で過ごすと、優良ドライバーとしてゴールド免許を保有できるようになります。
一般運転者の有効期限は通常5年
運転免許を受けている期限が5年以上で、3点以下となる比較的軽い違反(シートベルトの着用義務を守らなかったり、駐停車に関して違反をしてしまったりなど)を1回経験したドライバーは、一般運転者と扱われるブルー免許として扱われます。
一般運転者のブルー免許の有効期限は、通常で5年です。あくまで「通常は」と協調されるのは、これは70代以上のドライバーは高齢ドライバーとして分類され、年齢に応じて有効期限が減少するためです。
高齢ドライバーの有効期限については、このあとの「高齢ドライバーの場合は年齢によって違う」という項目で詳しく解説してます。
違反運転者の有効期限は3年
運転において違反を複数回おこしている、もしくは怪我の発生する事故を起こしてしまったドライバーは、同じブルー免許でも違反運転者として扱われます。
違反運転者のブルー免許の有効期限は3年です。更新時には他のブルー免許よりも長い120分の講習を受ける義務があります。
ゴールド免許の場合は通常5年
5年以上継続して免許を持っていて、無事故無違反を達成しているドライバーはゴールド免許の保有者として扱われます。ゴールド免許は優良ドライバー(優良運転者)の証であり、有効期限を示す文字列の帯の色が金色という特徴があります。
ゴールド免許の有効期限は通常5年ですが、一般運転者と違って更新時の講習が短くなっています。更新費用も安く、優秀なドライバーであるため比較的優遇されています。
また、一部地域(北海道、千葉県、京都府、山口県)では70歳以下のゴールド免許保持者はオンラインで更新時講習をおこなえるようになります(更新そのものは警察署などでおこなう)。使用にはマイナンバーカードが求められ、全国的な展開は2024年以降とされています。
一般運転者のブルー免許と同じく、高齢ドライバーのときには有効期限に変化があります。70歳に近づいている人は、自分はゴールド免許だから5年の有効期限があると思い込まず、高齢者用の規定を確認しておくことが大切です。
高齢ドライバーの場合は年齢によって違う
グリーンやブルー、ゴールドの色に関わらず、高齢ドライバーには運転免許証の有効期限に特別の規定が存在しています。若年のドライバーとは身体能力などの事情に違いがあることから、基準がすこし厳しく設定されています。
高齢ドライバーの免許の有効期限は、期限満了時に70歳(更新期限満了日の直前の誕生日に71歳になる)人は4年に、71歳以上の高齢者は3年に定められています。
また、満70歳以上74歳以下のドライバーは免許証の更新手続き前に高齢者講習を受ける必要があります。高齢者講習を受けない限りは更新ができないため注意が必要です。高齢者講習では座学や適性検査に加え、実際に自動車に搭乗しておこなう講習もあります。
講習全体で2時間ほどがかかり、更新費用とは別に高齢者講習そのものにも費用がかかることに注意しておきましょう。
加えて、満75歳以上のひとは記憶力や判断力を測定する認知機能検査の対象です。検査の結果「認知症のおそれがある」と判定されたときには、医師から認知症かどうかを診断してもらう必要があります。認知症と認められたときには免許の取消しや効力の停止などがおこなわれます。
運転免許の更新時期と更新方法
運転免許証はそれぞれの色や運転者の種類によって有効期限が定められており、失効させないためには更新手続きが必要です。運転免許の更新時期と更新方法を見ていきましょう。
運転免許更新可能期間は誕生日の前後一カ月
免許証の更新は、ドライバー自身の誕生日の前後一カ月におこなえます。
更新可能な期間の最終日が土曜日や日曜日、祝日や年末年始などで休日に定められているときには、その翌日か次の平日まで更新期間が延長されます。例えば、土曜日が最終日のときには、次の月曜日までが実際の更新可能期間として扱われます。
更新可能期間は、免許更新の近日になって届くハガキ(運転免許証更新連絡書)で正確な日程を確認することが可能です。
運転免許更新可能期間が近付くとハガキの案内が届く
運転免許の更新可能期間に近づくと、公安委員会からお知らせのハガキが送付されます。
このハガキは運転免許更新連絡書という書類で、実際に更新可能期間や更新手続きをおこなう場所、更新手続きに必要な手数料が記載されています。
送付される時期は誕生日の約一カ月前です。運転免許証に記載の住所に送付されるため、新生活や転勤などで家を変えたときにはあらかじめ運転免許証の住所を変更しておきましょう。
新住所を管轄する警察署や運転免許更新センター、運転免許試験場の窓口で運転免許証の住所を変更できます。
免許センターか運転免許試験場で更新できる
運転免許は、各都道府県の免許センターまたは運転免許試験場で更新できます。なお、ゴールド免許を交付してもらえる優良運転者と高齢者講習受講修了者は、指定された警察署でも更新を済ませることが可能です。
当日は申込書の記入、講習、適性検査、写真撮影などがあり、講習も含めてある程度時間がかかります。スケジュールに無理なく済ませられるように、更新場所の受け付け日時をあらかじめ調べておきましょう。曜日や時間帯によっては混雑することもあるため、スムーズに済ませるためには下調べも大切です。
更新にはドライバーに対する講習が義務付けられていますが、この講習の長さや内容は運転者の種類によって異なります。優良運転者は30分、一般運転者は60分、違反運転者および初回講習者は120分の講習を受けることになるため、自分どれに該当するのか確認しておきましょう。
運転免許の有効期限を過ぎてしまったときの対処法
更新を忘れたときの手続きは通常の更新よりも手間がかかるため、更新を忘れないことが一番です。しかし、どうしても更新手続きに行けない、という場合もあるでしょう。
仮に運転免許証を更新できず、有効期限を過ぎてしまったときにも対処法は存在しています。運転免許の有効期限が過ぎてしまった時の対処法を、失効時の状況別に見ていきましょう。
運転免許失効後6カ月以内の場合
運転免許証の失効から6カ月以内のときには、更新をできなかった理由に応じて対処法が異なります。
やむを得ない理由がある
やむを得ない理由で更新をできていなかったときには、その事実を証明する書類などを提出することで通常の更新手続きができます。
怪我や病気などによって入院していたときには入院証明や診断書、長期の海外出張で日本にいなかったときはパスポートなど出入国年月日が把握できるものなどを提出しましょう。
やむを得ない理由がない
うっかり忘れてしまった、仕事が忙しかった、ハガキの送付先が間違っていたなど、個人的にはやむを得ないと感じる理由でも、認められるものは基本的に入院、日本国外に居た、在監(刑務所や拘置所などの刑事施設への収容、身柄の拘束)などになります。
一定期間を過ぎてしまうと、公安委員会がやむを得ないと認める事情以外では、同様の手続きをおこなえません。
しかし、理由がないときでも運転免許の失効後6カ月以内であれば通常の更新手続きができます。
運転免許失効後6カ月以上の場合
やむを得ない理由がなくても、失効後6カ月以内であれば大きな違いはなく手続きをおこなうことができます。
運転免許失効後から6カ月以上の場合、やむを得ない理由がある場合には3年以内、ない場合には1年以内の条件で内容が変わります。
やむを得ない理由がある場合は3年以内
やむを得ない理由で更新できなかった場合は、6カ月以内の場合と同様に入院証明やパスポートなどの理由を証明する書類を提出し、手続きをおこないます。
原因となった行為や状況の終了から1カ月以内であれば、免許を交付してもらえます。例えば、失効から6カ月以上3年以内の入院している人は、その退院の1カ月以内なら手続きをおこなえます。
やむを得ない理由がない場合は1年以内
理由がなく失効期間が6カ月を超えると、新たに運転免許を取得しなくてはなりません。しかし、1年以内であれば適性試験以外の試験は免除されます。
この場合は、一度仮免の交付を受け、そのあとに適性試験を受験し、正式に運転免許取得のための試験を受けることになります。仮にこのタイミングまでに手続きができず、やむを得ない理由もないときには最初から運転免許を取り直すことになってしまいます。
運転免許失効3年を超えている場合
やむを得ない理由がある場合に限り、その理由の原因となった行為や状況の終了から1カ月以内であれば、適性試験と学科試験に合格するだけで免許が交付されます。
他の「やむを得ない理由がある場合」と同じく、その理由を証明する書類が求められます。この条件を満たせないときは、運転免許の取り直しとなるため注意しましょう。
有効期限が過ぎた運転免許を更新するときの注意点
有効期限の過ぎた運転免許の更新には、通常の更新にない書類を求められることがあります。こうした書類を用意するときに気をつけておきたい点を把握しましょう。
失効からの期間によって必要書類が異なる
運転免許が失効したときの手続きには書類を提出しますが、失効してからの期間によって必要な書類が異なります。下記の表を参考に、状況に応じて必要な書類を把握しましょう。
やむを得ない理由があり、失効後6カ月以内の手続 | やむを得ない理由がなく、失効後6カ月以内の手続 | やむを得ない理由があり、失効後6カ月を超えて3年以内の手続 | やむを得ない理由がなく、失効後6カ月を超えて1年以内の手続 | |
本籍が記載された住民票の写し | 必須 | 必須 | 必須 | 必須 |
失効した運転免許証 | 無くても可 | 無くても可 | 無くても可 | 無くても可 |
申請用写真 | 1枚 | 1枚 | 1枚 | 2枚 |
高齢者講習等修了者 | 対象者のみ | 対象者のみ | 対象者のみ | 不要 |
なお、これらの書類は原本で提出しなければなりません。コピーでは受理してもらえないため、原本を準備しておきましょう。
やむを得ない理由があることを証明できる書類の例
公安委員会が「やむを得ない」として認めるものは、基本的には入院、海外在留、在監の3つです。これらの状況では自由に更新手続きの窓口へ向かうことが不可能であることで、やむを得ない理由であると判断されます。
入院では入院証明や診断書、海外在留ではパスポートや在留証明など出入国年月日が確認できるもの、在監では在監証明などが該当します。こちらの書類も原本が求められるため、コピーを提出することは避けましょう。
運転免許の有効期限を把握して手続きをしよう
運転免許には種類や年齢ごとに有効期限が定められているため、更新を忘れてしまうと失効してしまいます。更新は忘れずおこなうようにしましょう。ブルーやゴールドなどの色だけでなく、自分が一般運転者かどうか、高齢者かどうかなどもあわせて確認しておくことで正確な有効期限を把握できます。
更新時期が近づくと更新手続きのためのハガキが送付されるため、案内に従って手続きをおこないましょう。もし更新できなかったときでも焦らずに、理由を証明する書類を用意するなど適切な対処をしてください。
運転免許の有効期限を把握し、スムーズに更新をできるように備えておきましょう。