中型免許・大型免許及び二種免許の取得について、道路交通法改正があり、受検資格について見直しが決定しています。
取得要件見直しの施行は2022年5月13日に予定されています。
ここでは、どこよりも詳しくこの中型免許・大型免許及び二種免許等の年齢引き下げ(受験資格の見直し)について詳しく紹介します。
最終更新:2022年3月8日
目次
【1】2022年改正道路交通法、第二種免許等の受験資格の見直しとは?
此度の中型免許、大型免許及び二種免許等においての年齢引き下げは、2020年6月に改正道路交通法が成立し交付されたことに基づき、「二種免許等の見直し」が行われたことによるものです。
この取得要件の緩和によって、「普通免許等を取得してから通算3年以上の運転経験で、21歳以上の人」が受検できた大型免許や二種免許が、特例教習を修了した場合に「19歳以上、経験1年以上」に引き下げられる予定です。同様に、「普通免許等を取得してから通算2年以上の運転経験で、20歳以上の人」が受検できた中型免許も、特例教習を修了した場合に「19歳以上、経験1年以上」に引き下げられる予定です。
運転免許の受験資格の特例概要(2022年5月13日施行) | ||
免許種類 | 従来の要件 | 特例教習修了者の資格要件 |
中型一種免許 | 20歳以上 普通免許など免許保有歴2年以上 |
19歳以上 普通免許保有1年以上 |
大型一種免許 | 21歳以上 普通免許など免許保有歴3年以上 |
19歳以上 普通免許保有1年以上 |
二種免許等 | 21歳以上 普通免許など免許保有歴3年以上 |
19歳以上 普通免許保有1年以上 |
年齢要件が引き下げられ、普通車免許を取得してから、1年以上で挑戦できるようになることから、高校を卒業して1年目の人でもすぐに大型免許や二種免許の取得が可能になります。そのため今後は、若い世代の人材が運送業やタクシー業界の採用対象に入ってくるでしょう。最短で19歳のトラックドライバーやタクシードライバーが誕生することも可能になりますね。
特にタクシー・バス業界そして運送業会ではドライバーの平均年齢が高いことや慢性的なドライバー不足が大きな課題であったため、取得条件が緩和されることで、若い人材の確保や業界の若返りが期待されています。
此度の改正では、下図のように取得前後の安全対策として、緑色の”特例教習”と黄色の”若年運転者期間”が設けられます。
年齢引き下げの条件とは?
では一体どのような教習を受けたものがその19歳以上、普通免許保有1年以上の資格要件を満たすでしょうか?
【2】特例教習とは?
前提として、この特例教習の目的は年齢要件が担保する自己制御能力(感情制御能力や自己の運転技能に対する客観的評価能力)と、経験年数要件が担保する危険予測・ 回避能力(漠然と捉えた危険源に対して一刻も早く明確な危険に変換する能力や、危険の過小評価を厳に慎むために危険性を正しく見積もる能力、その見積もられた危険性に適切に対応するための具体的行動をとる能力)を養成することを目的としています。
現在、判明している内容はこの特例教習は以下の3パターンが予定されています。
①年齢・経験過程
年齢・ 経験過程 |
1段階 | 2段階 | 合計 | |
技能教習(h) | 11 | 20 | 31 | |
学科教習(h) | 2 | 3 | 5 |
普通車を使用した教習カリキュラムとなる予定です。実施予定内容は自己制御能力及び危険予測・回避能力を養成する内容となります。特例教習は受験資格要件の引き下げの為の教習であることから、受講後あらためて教習所に入校して卒業するか、試験場での技能試験(いわゆる「一発試験」)を受けて運転免許の取得を行う必要あります。教習効果を測定するための試験等は実施されないため、教習の受講のみとなります。
②経験過程:受験資格のうち、受験年齢(中型免許:20歳以上、大型免許:21歳以上、二種免許:21歳以上)に達しているが、運転経験(中型免許:2年以上、大型免許・二種免許:3年以上)が満たされていない方が対象
経験過程 | 1段階 | 2段階 | 合計 | |
技能教習(h) | 9 | 18 | 27 | |
学科教習(h) | なし | 2 | 2 |
※受験年齢が受験資格に達していれば、経験過程を受ければ良いとなります。例えば、21歳の方が普通車免許を取得後、1年を経過して大型免許の取得を希望する場合、本来なら運転経験が未達ですが、特例教習を受ければ、大型免許が取得可能となります。
③年齢過程:受験資格のうち、受験年齢に達していない方が対象
年齢過程 | 1段階 | 2段階 | 合計 | |
技能教習(h) | 2 | 2 | 4 | |
学科教習(h) | 2 | 1 | 3 |
※この年齢過程は、以下の方のみが適用となります。20歳の方が普通車免許を取得後、1年を経過して、中型免許の取得を希望する場合、本来なら運転経験が未達ですが、経験過程を修了すれば、中型免許が取得可能となります。その後に大型免許等の免許を受験する場合は、既に経験過程を受けておりますので、この年齢過程のみを受ければ良いとなります。
取得前の安全対策として
第二種免許等の受験資格(年齢要件及び経験年数要件) で担保している以下の資質を特例教習の修了により、特例的に受験資格を引き下げるとするものです。
※ 年齢要件が担保する「自己制御能力」及び経験年数要件が担保する「危険予測・回避能力」
教習内容(一例):
- 運転適性検査
- 性格と運転の概説(座学)
- 技能録画(実車)
- 運転適性検査の結果・録画映像に基づくディスカッション形式の指導(座学)
- 危険予測・回避能力の養成に資する指導(座学・実車)
【3】若年運転者期間とは?
取得後の安全対策として
事業者による一層の安全対策の強化に加え、運転者に対して慎重な運転を促すため、若年運転者期間が設定されます。21歳(中型免許は20歳)に達するまでの間に、基準に該当する違反を行った場合は、講習(若年運転者講習※) の受講を義務付けられます。(受講しなかった場合及び受講後に 再び基準に該当する違反を行った場合は、特例を受けて取得した免許を取り消されます。)
※若年運転者講習
講習内容:受験資格特例教習のカリキュラムのうち、主として「自己制御能力」の養成に資すると考えられるものを抽出
時限:9時間程度(2日間)
【4】目指せ!中型免許・大型免許 教習時間早見表
中型一種免許 時間数早見表
以下は所持免許が普通車、準中型免許の場合、中型免許を取得する際の教習時間早見表です。
大型一種免許 時間数早見表
以下は所持免許が普通車、準中型免許の場合、大型免許を取得する際の教習時間早見表です。
普通車免許(MT)からだと技能教習30時限(学科1時限)、準中型免許からだと23時限(学科なし)の教習時間となります。
【5】目指せ!普通二種免許、大型二種免許 教習時間早見表
普通二種免許 時間数早見表
以下は所持免許が普通車、準中型免許の場合、普通二種免許を取得する際の教習時間早見表です。
普通車免許(AT)からだと技能教習21時限(学科19時限)、普通車免許(MT)からだと技能教習25時間(学科19時限)、準中型免許からだと18時限(学科19時限)の教習時間となります。
大型二種免許 時間数早見表
以下は所持免許が普通車、準中型免許の場合、大型二種免許を取得する際の教習時間早見表です。
普通車免許(MT)からだと技能教習34時限(学科19時限)、準中型免許からだと30時限(学科19時限)の教習時間となります。
【6】まとめ
いかがでしたか?コロナの影響もあり旅客サービスはまだ完全に回復しておりませんが、貨物トラックのドライバーの需給予測では、2028年にはドライバーが約27万人不足するとの深刻な見通しも発表されています。此度の改正で特にプロドライバー業界のドライバー不足に歯止めがかかり、若年層の新たな就職先として人気、注目が集まることを願ってやみません。