大型のバイクを運転したい、憧れのバイクに乗ってみたい。そのために大型二輪免許の取得を検討中ではありませんか?
大型二輪免許が必要となるバイクは、パワーもあり車体も大きいことから、より安全に運転するための技術が求められます。人によっては免許取得まで数ヶ月かかることもあるため、免許取得は計画立てて進めたほうが良いでしょう。
本記事では、大型二輪免許の取得方法や取得費用、難易度、気になる疑問を解説します。基本的な取得までの流れから解説しますので、大型二輪免許取得に興味を持っている方はぜひ参考にしてみてください。
目次
大型二輪免許とは
総排気量が401㏄以上、電動バイクであれば定格出力が20kWを超える、大型でパワーのあるバイクの運転に必要な免許です。正式には、大型自動二輪免許と言われ、MT(マニュアル)とAT(オートマチック)車限定の2種類あります。
従来の大型二輪AT車限定免許は、650ccまでのAT車しか乗れませんでした。しかし、2019年12月1日に施行された道路交通法の改正で、排気量制限が撤廃されています。
どちらの免許も取得することで、原付や中型バイクに該当する、400㏄以下のバイクが運転できるようになります。
大型二輪免許の取得は難しい?近年の合格率
警察庁では運転免許取得に関する統計情報を公表しています。2023年1月時点で公表されている、近年の大型二輪免許の合格率は次のとおりです。
統計年 | 合格率 |
2018年(平成29年版) | 91.4%(AT限定:84.1%) |
2019年(平成30年版) | 91.4%(AT限定:64.1%) |
2020年(令和元年版) | 87.9%(AT限定:54.6%) |
2021年(令和2年版) | 89.9%(AT限定:70.1%) |
2022年(令和3年版) | 86.1%(AT限定:67.6%) |
※警察庁「運転免許統計」より作成
合格率を見ると、MT車の大型二輪免許は約90%、AT車限定は年度によってばらつきはあるものの、約70%であることがわかります。難しいイメージが持たれることも多い大型二輪免許ですが、実際の合格率から見るとほとんどの人が合格しています。
ただし、合格者の90%以上は指定自動車教習所の卒業生です。たとえば、2022年の警視庁の統計を見ると、1年間で113,303名が受験し、合格者は97,580名、うち指定自動車教習所の卒業生は88,815名と全体の91%を占めています。
合格率とその内訳から見ると、教習所へ通ったほうが結果的に早く取得できる可能性が高いでしょう。可能な限り短期間で免許を取得したい場合は、合宿免許を検討するのがおすすめです。
大型二輪免許の取得条件
取得に求められる条件は、次の通りです。
年齢 | 満18歳以上(指定自動車教習所の卒業検定時または免許交付時に18歳となる) |
視力 |
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色彩識別 | 赤・青・黄色が識別できること(普通免許など免許を受けている場合は省略) |
運動能力 | 自動車の運転に支障をおよぼす恐れのある四肢または体幹の障害がないこと |
聴力 |
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※警視庁「二輪免許試験(直接試験場で受験される方)」より作成
条件における聴力や視力、運動能力について不安がある場合は、運転免許試験場への相談が必要です。状況に応じた補助手段を講じたうえで、免許取得を目指せます。相談には時間を要するため、事前の受付が必要です。運転免許試験場の受付は平日のみのため、早めに相談しましょう。
また、上記は免許取得のための条件ですが、教習所によっては独自に身長制限を設けていることがあります。これは大型のバイクは車種にもよりますが、重量も車高も高く、車体を支えるのが身長によっては難しいためです。心配な場合は、入校を考えている教習所に確認しておきましょう。
【大型二輪免許の取得方法 その1】教習所に通う
自動車教習所へ通学して大型二輪免許を取得するまでの流れを解説します。
取得するまでの流れ
通学する場合は、次のような流れで免許取得を目指します。
- 教習所に入学する
- 適性検査を受ける
- 技能教習と学科教習を受ける
- 卒業検定に合格する
- 運転免許試験場で適性検査を受ける
- 取得した免許に応じて学科試験を受ける
- 合格後に免許交付
上記の流れは、バイクや自動車の運転に必要な免許を取得した経験がない人の場合です。はじめて免許を取得する人は学科試験で交通ルールやマナーについて、正しい知識が身についているかチェックされます。
普通免許や普通二輪免許などをすでに所有している人は、学科試験免除の対象です。。
取得期間
普通二輪免許を持っていない場合、全て順調にいったとしても、最短で13日、長ければ3ヶ月ほどかかります。
はじめて免許を取得する場合、学科教習は26時限、技能教習は36時限必要です。1時限は50分ですが、法令で1日に受けられる教習の時限数が「第一段階は2時限、第二段階は3時限」と決められているため、短期間ではこなせません。
教習が上手くいかなかったり、自宅から通える日程が限られる場合は、さらに日数が伸びてしまうこともあります。教習所が混んでいて予約が取れないこともあるため、通学で取得する場合は、取得期間が長引く可能性も考慮しましょう。
取得費用
通学する教習所によって違いはありますが、免許を所持してない、あるいは原付免許のみ持っている場合は24万円から30万円前後かかります。
普通二輪免許(MT)を取得している人であれば学科教習がないため、10万円から15万円前後で取得が可能です。普通免許を持つ人の場合は、学科教習のほとんどが免除されるものの、技能教習が多いためおよそ15万円前後かかります。
免許の有無にかかわらず、取得までの交通費は自分で支払うことが一般的です。通学に教習所側が特典として補助をつけている場合もあるため、入校したい教習所のプランをよく確認しておきましょう。
【大型二輪免許の取得方法 その2】合宿免許に参加する
合宿免許とは、教習所の宿泊施設や指定されたホテルに泊まり込み、免許取得を目指す方法です。
取得するまでの流れ
基本的な流れは教習所へ通学する場合と変わりません。
- 教習所に入学する
- 適性検査を受ける
- スケジュールに沿って技能教習と学科教習を受ける
- 卒業検定に合格する
- 運転免許試験場で適性検査を受ける
- 学科試験を受ける(他の免許がない場合)
- 合格後に免許交付
取得期間
免許を所持していない、または原付免許、小型特殊免許を所持している場合は、最短で16日前後です。普通二輪免許(MT)や普通免許を所持していれば、必要な教習が少なくなるため、さらに短い期間で取得できます。
通学に比べると日数が少ないのは、事前に組まれたスケジュールに沿って、効率よく教習を行っていくためです。決められたスケジュールをこなす必要はありますが、通学よりも短期間で取得を目指せます。
短期間集中して取得を目指したい、という人にとっては合宿免許のほうが便利です。
ただし、取得期間自体は短いものの、教習所によっては冬季の入校を受け付けていない場合があります。積雪が多い地帯では、バイクでの走行が困難になるためです。したがって、自身が合宿に参加できる期間と教習所の受付期間が合わない可能性を考慮しておきましょう。
取得費用
通学の場合と同じく、免許の取得状況によって10万円から30万円前後と幅があります。
普通二輪免許(MT)を取得していれば、約10万円から15万円程度です。普通免許の場合は15万円から20万円、免許なしや原付免許の場合は20万円から30万円前後かかります。
また、入校する人が多い時期とそうでない時期とでは、前者のほうが値段が高いです。教習所によっても値段は異なってくるため、教習所に複数の選択肢がある場合は、値段やプラン内容を比較すると良いでしょう。
【大型二輪免許の取得方法 その3】一発試験を受ける
一発試験とは、教習所に通わない免許取得方法です。運転免許試験場で受験申請を行い、適性検査に問題なければ、学科試験と技能試験を受けられます。試験に合格したあと、所定の講習を受ければ免許取得が可能です。
取得するまでの流れ
一発試験の流れは、次の通りです。
- 住民票がある地域を管轄する運転免許試験場へいく
- 受験申請と適性検査を受ける
- 試験の予約を行う
- 予約日に学科試験と技能試験を受ける(所持免許によっては学科試験免除)
- 大型二輪車講習を受ける(普通二輪免許を持っていない場合)
- 応急救護処置講習を受ける(普通免許を持っていない場合)
- 合格後に免許交付
教習所を利用する方法よりも免許取得にかかる時間とお金を短縮できます。一方で、技能試験や講習は免除になりません。
また、技能試験においては警察官の立ち合いのもと、十分な技能があるかチェックを受けるため、バイクに慣れた人でも緊張から不合格になってしまうことがあります。上記の流れはあくまでも不合格にならずに進んだ場合であることを覚えておきましょう。
取得期間
受験申請の受付や技能試験、必要な講習は平日のみ行われています。受験申請をする日に試験を受けられるわけではない他、必要な講習を受けられるかどうかは運転免許試験場の空き次第のため、取得期間が長引くこともあります。
また、試験が不合格だった際は技能試験の予約からやり直しとなる点も考慮しましょう。試験の不合格回数が多ければ、結果として免許取得までの期間も長引きます。
取得費用
項目 | 費用 |
受験料 | 2,600円 |
試験車使用料 | 1,450円 |
交付手数料 | 2,050円 |
取得時講習料(大型二輪車講習料) | 16,650円 |
応急救護処置講習料 | 4,200円 |
合計 | 22,750円 |
※警視庁「二輪免許試験(直接試験場で受験される方)」を元に作成
合宿免許や通学を活用した方法と比べ、費用は安いです。しかし取得期間の部分でも解説したように、不合格だった場合は改めて試験を受けなくてはなりません。結果として合宿免許や通学で教習所を活用したほうが安かった、という可能性は考慮しておきましょう。
なお、上記手数料については、地域によって違う場合があります。正確な費用については、管轄の運転免許試験場や各都道府県公安委員会に問い合わせましょう。
大型二輪免許試験の受験に必要なもの
教習所を無事卒業した後は、運転免許試験場にて受験を行います。必要書類や手数料は、すでに免許を取得しているかによって変わるため、事前に確認しておきましょう。
初めて免許を取得する場合
- 本籍が記載された住民票の写し(発行から6ヶ月以内)
- 海外赴任などで住民票を除票されている場合は戸籍全部事項証明書、戸籍個人事項証明書、または本籍が記載された住民票の除票、一時帰国(滞在)証明書、証明者の住所などが確認できる身分証明書の写し
- 本人確認書類(健康保険証、マイナンバーカード、学生証など)
- 申請用写真(縦3cm、横2.4cmの正面から撮影した無帽、正面、上三分身、無背景の写真を1枚、撮影から6ヶ月以内)
- 筆記用具(学科試験用)
- 印鑑
- 眼鏡・コンタクトレンズ(視力矯正が必要な場合)
- 卒業証明書(発行日から1年を経過していないもの)
- 受験料:1,750円
- 交付手数料:2,050円
教習所を卒業している人の場合、技能試験が免除となります。取得時講習や応急救護講習の費用も不要なため、2023年1月時点では合計で手数料3,800円が必要です。
また、運転免許試験場のある都道府県とは異なる場所で学科試験に合格した際は、公安委員会発行の運転免許試験成績証明書が必要となります。
大型二輪免許以外の免許をすでに持っている場合
- 運転免許証
- 申請用写真(縦3cm、横2.4cmの正面から撮影した無帽、正面、上三分身、無背景の写真を1枚、撮影から6ヶ月以内)
- 卒業証明書(発行から1年を経過していないもの)
- 印鑑
- 眼鏡・コンタクトレンズ(視力矯正が必要な場合)
- 受験料:1,750円
- 交付手数料:2,050円
すでに普通免許を持っている人であれば、学科試験は免除となります。したがって、学科試験に必要な筆記用具などは不要です。
大型二輪免許の取得で気になる疑問
「MT」と「AT」どちらを取得するべき?
AT限定の大型二輪免許を取得する明確な目的がない場合は、MTがおすすめです。
あとからATの解除を行うには数万円かかるため、結果として取得費用の総額が高くなってしまいます。ATの解除のために教習所へ通う時間も必要になるため、MTを取得したほうが取得費用と取得期間、双方の面でお得です。
大型二輪免許の合格率は?
警察庁交通局運転免許課の運転免許統計によると、2022年(令和3年版)では、大型二輪免許(MT)の合格率は86.1%、AT限定は67.6%です。一発試験については、正確な受験人数が不明確なことから、確実な合格率はわかりません。
大型二輪免許向けの補助金はある?
残念ながら、大型二輪免許向けの補助金はありません。
しかし、運転免許全体でみると、補助金を受け取れるものもあります。それは、大型トラックやバスの運転に必要な大型免許や中型免許、フォークリフトの運転技能講習などです。
条件を満たしたうえでハローワークへ申請すると免許取得費用の20%が、10万円を上限に支給される教育訓練給付金制度が使えます。利用すれば取得費用をおさえ、免許取得を目指せます。
受給条件として、65歳未満であり、受講開始日から数えて雇用保険に3年以上加入していることが挙げられます。ただし、働いていない期間があったとしても、離職機関が1年以内で、前職で被保険者期間が通算3年以上であれば利用可能です。
将来的に「仕事の幅を増やしたい」と考えている方や、休職中で「プロのドライバーとして資格を取りたい」と考えている方は、覚えておいて損のない制度です。
大型二輪免許の取得は教習所の活用がおすすめ
大型二輪免許は、すでに免許を取得しているかどうかで、取得期間や取得費用が変わります。合格率はMTは80%から90%、AT限定は60%から70%となっており、合格者の多くが指定自動車教習所の卒業生です。
知識も技術もより求められる大型バイクを運転するには、教習所に通うことも近道となります。自分に合う方法で大型二輪免許を取得し、憧れのバイクを大いに楽しみましょう。